2009 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア・東南アジア諸国のインターネットカフェの社会史と比較社会学
Project/Area Number |
21830052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 知久 Kyoto University, 大学院・文学研究科, 研究員(グローバルCOE) (50552692)
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Keywords | インターネットカフェ / アジア地域比較 / 社会史 / 社会情報学 / グローバリゼーション / 公共圏(公共空間) / 親密圏 / 比較社会学 |
Research Abstract |
平成21年度は、ほぼ研究実施計画にのっとり、インターネットカフェ(以降「IC」と略記)のマッピング、店舗形態や内部空間の分割のあり方の分析、各国各都市でのインタビュー調査を行った。マッピング数は、上海で約30、香港で約30、台北で約20、バンコクで約20、フィリピンで約30、大阪で約30、東京で約100(オンライン上も含む)の店舗を地図上に反映させ、すでに各都市での偏差が明らかになりつつある。また、インタビューについては、各都市で10名前後のインフォーマントから情報提供を受けた。数量データについては、特に東南アジア諸国ではその総数を把握できるような資料が存在せず、本研究で得られたマッピング資料が一次データとなることが確認できた。なお、インフォーマントからの示唆で、各国の大手プロバイダへの契約店舗数の問い合わせが総数把握に効果的だという示唆を得て、これを平成22年度にフォローアップしたい。 本年度得られた研究上の知見は、ICを機能分化された「公園(公共空間)」として捉えるという研究視座である。例えば、気晴らし(時間つぶし)の場という利用スタイルは各国で見られ、学校や駅周辺・繁華街にICが集中していることは共通している。また、利用年齢制限が比較的緩い国々では、男女を問わず子どもの遊び場としての機能を果たしている(香港・マニラ)。他方、親密な人々との会話空間(香港(移民労働者)・フィリピン)、広い意味での性産業における出会いの場(タイ・上海・フィリピン・日本)、住居不定者の仮住まい(香港・日本)などの各都市に特殊な利用スタイルも散見される。以上の利用スタイルは、旧来の公園(公共空間)において見られた現象であり、ここから、グローバリゼーション下で各国の公園(公共空間)がいかなる変容をこうむり、その変容をICがどのように引き受けてきたのかを明らかにするという課題が示された。
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Research Products
(3 results)