2009 Fiscal Year Annual Research Report
美術の教育における「抽象表現」の実技指導方法の構築と実践
Project/Area Number |
21830066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
渡邉 美香 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 講師 (30549100)
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Keywords | 美術教育 / 抽象表現 / 素材体験 |
Research Abstract |
本研究の目的:「美術教育における『抽象表現』の実技指導方法を構築すること」にもとづき、本年度では、(1)作品の制作過程全体を通して「抽象表現」における基礎と技術レベルの段階を捉え直すこと、(2)主に初級者を対象とした実技指導方法を検討すること、について研究を行った。具体的には、(1)において、(1)「抽象表現」の現状と指導課題の分析、(2)「抽象表現」を段階的に理解するための実践的考察、(3)モホリ=ナジ等の文献研究、(4)造形理論に基づく造形課題の設定、を行った。(2)については、(1)学習段階を初級・中級・上級に分類し、初級者を対象とした指導方法案の提示、(2)「素材体験」課題の設定、(3)小学校図工科での実践取材記録と大学での授業実践記録の分析、(4)初級編指導内容・指導方法・評価についての検討、を行った。(1)、(2)を論文にまとめ発表した。本年度は、初級段階の指導についての提案を行ったが、今後、中級編、上級編の指導方法を提案し、「抽象表現」における技術レベルを分かりやすく提示する。この表現技術レベルの段階的な設定は、各人の感性にもとづいた造形行為に準拠しており、表現活動を専門的な技巧の問題から解放するものである。「抽象表現」の特性は、人の内面と技術とを結び付ける造形活動にあり、表現者と鑑賞者とのよりよい関係を構築する有効な手段の一つとなりうる。豊かな感性を芽生えさせ、心の豊かさを知る人間の育成を促す美術教育の中で、「抽象表現」を扱う本研究は、これからの日本の教育文化に貢献できると考える。
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Research Products
(3 results)