2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830067
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平野 淳一 神戸大学, 法学研究科, 助教 (10550949)
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Keywords | 地方政治 / 選挙研究 |
Research Abstract |
本研究計画では、日本の市長選挙における対立構図の規定要因の理論的な解明を目標としている。この目標の達成のために、平成22年度は、前年度までに構築したデータを基に1970年代以降の市長の経歴・党派性の変遷についての分析を行った。その結果、(1)70年代後半から見られた革新市政の後退のペースに地域・時代による違いが見られること、(2)80年代以降に増加した相乗り市長が先行研究で指摘されているよりも多くみられること、(3)90年代以降の市長の無党派化が主に相乗り現職市長の選挙での落選によって引き起こされていること、などを明らかにした。更に、これらの知見を基に革新市政後退の要因、90年代以降の市長選挙における対立構図の規定要因について分析を行った。前者については、革新市政の後退が社会党・共産党の市長選挙での連合が崩れることによって引き起こされていることを確認した上で、社共共闘崩壊の要因が中央レベルでの両党の対立に端を発しながらも、衆議院選挙と市長選挙のタイミングの一致に求められることを明らかにした。後者については、市長選挙における国政政党の与野党相乗り、対決を規定する要因として、当該市域における与野党の勢力差や市の財政状況が重要であることを示すとともに、市議会選挙と市長選挙の一致や政党執行部のリーダーシップが影響を与えていることを明らかにした。市長選挙についてはデータ数が膨大であるために、これまで計量的アプローチによる分析が殆ど行われてこなかった。本研究では先行研究よりも網羅的な形で市長の経歴や党派性について分析を加えた上で、市長選挙における対立構図の規定要因を理論的・実証的に明らかにすることができたと考えられ、地方政治研究全体への貢献は大きいと考えられる。研究成果の公表については、本年度は学内・学外の研究会での研究報告が中心となったため、今後は学会および公表論文での報告を重点的に行っていく予定である。
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