2010 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける裁量的証拠排除論の研究~「適切な大人」制度との関係を中心に~
Project/Area Number |
21830075
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
京 明 香川大学, 法務研究科, 准教授 (90513375)
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Keywords | 被疑者取調べ / 傷つきやすい被疑者 / イギリス / 適切な大人 / 証拠排除 / 供述の自由 |
Research Abstract |
平成22年度についても、交付申請書記載の研究計画に従い、21年度同様「適切な大人(Appropriate Adult:以下、AAという)」制度に関する裁判例及び証拠法関連の文献の収集・検討に努めると共にそれらの成果については、2本の研究論文として執筆するに至った。具体的には以下の通りである。発表順に述べると、まず下記にもあるとおり、香川法学30巻3・4号98-71頁に「『適切な大人(Appropriate Adult)』の立会いなしに得られた自白の証拠能力」と題する論文を発表した。その内容は、AA制度に関する裁判例を網羅的に取り上げて検討したうえで日本法への示唆を探ったもので、日英間では、自白の証拠能力、ひいては虚偽自白の防止への姿勢に違いが見られることを、AA制度を契機として明らかにしたものである。 次に、下記にもある通り、2011年9月刊行予定の『村井敏邦先生古稀祝賀論文集』(日本評論社)に「イギリスにおける自白の証拠排除の基本構造~「適切な大人(Appropriate Adult)」制度を契機として」と題する論文を寄稿した(約16,000字)。これも、先の香川法学掲載の論文と同様に、AA制度を契機とするものではあるが、その違いは、先の論文が裁判例の詳細な検討を主な内容とするものであるのに対し、本論文は、むしろその前提として、日英間における自白の証拠排除の基本構造の異同について比較検討したもので、より一層理論的な傾向の強い内容である。 いずれの論文においても、本研究の基本テーマであった裁量的証拠排除論が十分に取り上げられていることは言うまでもなく、日本における自白の証拠排除論の発展に貢献しうるものである。
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Research Products
(2 results)