2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規音イベント知覚に関わる音響変化の心理物理学的検討
Project/Area Number |
21830152
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 里弥 関西学院大学, 理工学研究科, 専門技術員 (90546904)
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Keywords | 実験系心理学 / 心理物理学 / 聴覚心理学 / 時間知覚 / イベント検出 |
Research Abstract |
音響信号を聞いて個別の音を刻々と知覚するタイミングについて,断続音ではさまざまな知見が得られているが,連続音の場合はまだ明らかにされていないことも多い.しかし自然な音声や音楽などは連続的な信号であることが多く,音響信号の時間的側面の知覚の解明には,連続音響信号中の音の知覚タイミングを明らかにすることが不可欠である. 連続的な音響信号の中である程度急峻な音響変化があるとき,聴覚ではその変化が検知され,変化後の音が変化前とは別の新たな「音事象」として知覚されると考えられる.この新規音事象検出に必要な音響変化の条件について検討を行うことが,本研究の目的であった.さまざまな音響変化のうち,本研究ではスペクトル構造の遷移に焦点を当て,その最も単純な形態である正弦波信号の周波数遷移を対象とした.正弦波信号において,ある周波数の定常部から周波数を連続的に遷移させて別の周波数の定常部へと変化させたとき,周波数遷移部を独立した音事象として知覚せず,第二の音事象の知覚タイミングが明確なものとなるためには,周波数遷移がある程度急峻である必要がある.この「急峻さ」に関わる遷移の要因として,遷移の時間長,遷移する周波数の幅,遷移の傾き,などが考えられる.本研究では,新規音事象知覚にとって必要な「周波数遷移の急峻さ」を規定するものが,この3つの要因のうちいずれのものであるかを確認するための心理物理実験を行った.その結果,この「急峻さ」にとって最も重要なのは遷移の時間長であることが確認された.
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Research Products
(7 results)