2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21840005
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
任 皓駿 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (10538177)
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Keywords | 強相関電子 / 電子構造 / 光電子分光法 |
Research Abstract |
強相関電子系の特徴である電子の局在化は、重い電子、高温超電導などの新奇な物性の原因になっているため、多くの凝縮系で研究されている。しかし、凝縮系の中の電子の置かれる複雑な環境は局在化の機構の理解する事を難しくしている。本研究では、強相関電子を空間的に孤立させてその環境を単純化し、局在化の機構を電子構造の立場から明らかにする事を目的にする。そのため、電子の性質が局在から遍歴まで転移する「Ce希薄化合物系」と「Ag(111)上のCo吸着系」との二つの補完的な系において、光電子分光法を用いる系統的な研究を遂行した。 「Ce希薄化合物系」では、Ceを他の元素で置換してCe 4f電子を凝縮状態から不純物の状態に変える。少ない濃度のCe電子状態をよく観測するため、Ce 4f-4d共鳴現象を用いる光電子分光の測定を放射光利用施設のUVSORで行った。実験の結果、Ce凝縮の状態で観測されたフェルミ順位の近傍の強い近藤共鳴ピークが、連続的にCe希薄状態でも大きく形成される事を観測した。これは、Ce希薄の状態になっても、Ce 4f電子が伝導電子と強く混成している事を示している。 「Ag(111)上のCo吸着系」においては、資料準備所のポータブルチャンバの開発と光電子分光法を用いた電子構造の研究との二段階に分かれて行われた。試料準備層のポータブルチャンバを開発は実験室で行われ、直接制作した加熱装置とスパッタリング装置を利用して表面処理及び吸着条件を確定した。得られた条件を用いてCo 3p-3d共鳴角度分解光電子分光の測定を行い、Ag(111)上のCo吸着系の電子構造の研究の基盤を作った。
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Research Products
(2 results)