2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21840014
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
梅原 守道 茨城大学, 大学教育センター, 講師 (40532164)
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Keywords | 偏微分方程式 / 圧縮性粘性流体 / Navier-Stokes方程式 / 自由境界問題 / 天体の連続体モデル |
Research Abstract |
本研究は、自由表面を持ち自己重力作用下にある粘性熱伝導性ガス(流体星)の運動の初期境界値問題(自由境界問題)を研究するものである。平成22年度の研究成果は以下の通りである。(1)前年度に引き続き、ガスが理想気体である場合の空間1次元的運動を考察し、前年度の研究結果を発展させた。すなわち、モデルの長時間にわたる妥当性(方程式系の解の、長時間にわたる一意存在)を保証する条件を、より物理的にリーズナブルなものへと改良した。この結果は、現在査読付き学術雑誌に投稿中である。(2)前年度に引き続き、ガスが理想気体である場合の空間3次元球対称運動(中心球核のまわりの運動)を考察し、解の長時間にわたる一意存在可能性および解の長時間挙動を調べた。結果として、ある一定の条件(物理環境)のもとでは小さくない初期値から一意の解を長時間にわたり構築することができて、かつ、その解は時間無限大で系の定常解へ収束することが示された。本結果は(1)と対を成す内容であり、(1)の結果をより3次元的運動の要素が強いモデルへ拡張したとも言える。報告者は本結果を国際研究集会(於ギリシア)で発表し、その要旨は速報論文として出版された。現在フルペーパー論文として査読付き学術雑誌に投稿準備中(執筆中)である。以上2つの研究成果により、圧縮性粘性流体の流体星モデルとして、かねてより典型的であった2つのケースの数理的妥当性が、ほぼ示されたと言える。また本研究で得られた解析手法は、自己重力のように大きさに制限のない外力を扱うことができるため、より広範なモデルへ応用が可能と考えられる。
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