2009 Fiscal Year Annual Research Report
細孔性ネットワーク錯体をフラスコに用いた新規有機化学反応の開発と単結晶の機能化
Project/Area Number |
21850008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
猪熊 泰英 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (80555566)
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Keywords | 細孔性錯体 / X線結晶構造解析 / 固相反応 |
Research Abstract |
細孔性単結晶内での特異な異性化反応、位置選択的反応を発見した。 レチナールは、その2重結合部位の異性化によって視覚を司る重要な生体色素の一つである。このレチナールは、分子内に複数のオレフィン部位を含んでおり、その選択的異性化は化学反応的にも容易ではない。電子不足細孔性錯体にall-trans体のレチナールを導入すると、錯体との電荷移動相互作用が観測された。細孔内のレチナールを抽出し、分析したところ、約25%のall-trans体が13-cis体へと選択的に異性化したいることが分かった。この異性化反応は、暗所で触媒的に進行することも見出した。 また、細孔内においてアジドとアルキンの双極子付加環化反応が立体選択的に進行することを見出した。一般に、アジドとアルキンが1,2,3-トリアゾールを生成する際に、1,4-置換体と1,5-置換体の生成比は、反応部位に近い位置での官能基に依存すると考えられるが、分子の動きが規制された細孔内では、フェニルアセチレンの4位という反応点から非常に離れた位置での立体障害が鍵となって1,4-置換体を選択的に生成することが分かった。 さらに、細孔性錯体の新展開として、溶液中で自己集合によって得られるカゴやカプセル型分子をコバルトイオンを用いてネットワーク状に無限集積させる手段も確立した。これにより、結晶内であるにもかかわらずホスト-ゲスト化学が実現でき、その一部始終をX線結晶構造解析によって観測することにも成功した。
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Research Products
(4 results)