2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造柔軟性と安定動作を両立した有機デバイス実現に向けた半導体内回転部位密度の設計
Project/Area Number |
21850032
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
末森 浩司 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 研究員 (10549869)
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Keywords | 有機半導体 / ダイポール / 出力安定性 / 構造柔軟性 / キャリヤトラップ |
Research Abstract |
フレキシブル半導体として期待の高い有機半導体は、分子中のC-C単結合などの回転を通じて、分子のコンフォメーション変化が起き得る。こうしたコンフォメーション変化が、デバイスの駆動中に引き起こされた場合、出力電流がそれに影響を受け、結果として、出力不安定性を引き起こしてしまう可能性がある。有機半導体材料中のダイポールは、印可電界と相互作用し、デバイス駆動中のコンフォメーション変化の原因となる。高安定動作する有機半導体材料創出のためには、こうした、材料構造変化を引き起こす要因とデバイス動作安定性との相関関係の解明が必要となる。このような観点から、本研究では、代表的な有機半導体の1つであるpoly-dioctylfluorene-bithiophene (F8T2)分子中に臭素を導入することで、分子中にダイポールを持たせた材料に関して、その電流安定性を検証した。その結果、分子中に臭素を導入した場合は、材料に電圧を印可した直後から、およそ0.1秒程度の時間スケールで、出力電流の減衰が観測された。臭素原子を1500ppm導入した場合、電圧印可後0.1秒での電流値は、初期電流値に対して、4割程度の値に減衰し、微量のダイポールでも、大きな不安定化要因となることが明らかとなった。また、この減衰曲線は、stretched exponential関数でフィッティングできることが明らかとなった。これは、臭素導入によって生じたダイポールが、電圧印可を引き金として、0.1秒程度の時間スケールでキャリヤトラップを形成し、その結果、電流不安定性が引き起こされたことを示唆している。これらの知見は、高安定かつ高性能な有機半導体材料の開発に対して、有用である。
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Research Products
(11 results)