Research Abstract |
浚渫土人工干潟と自然干潟における主要底生生物の分布パターン,及びシオマネキの新規加入量を比較し,環境要因との関連性を明らかにすることを目的とし,徳島県阿南市大潟人工干潟浚渫土区,及び徳島県徳島市勝浦川河口自然干潟において,主要底生生物の分布調査,及び環境調測定を行った.また,上記2干潟に阿南市那賀川河口自然干潟,及び徳島市吉野川河口自然干潟を加えた計4干潟において,シオマネキ新規加入量の観察調査,及び環境測定を行った.調査対象とした9種中,大潟人工干潟浚渫土区ではカワアイを除く8種類の生息が確認された.大潟人工干潟浚渫土区において優占していた4種(フトヘナタリ,シオマネキ,ハクセンシオマネキ,アシハラガニ類)に関して,ハクセンシオマネキは自然干潟である勝浦川河口干潟における生息密度を上回り,フトヘナタリは同程度,また,シオマネキとアシハラガニ類は3/4程度であった.しかしながら,他の4種に関しては,勝浦川河口干潟の生息密度が顕著に高かった.4つの干潟におけるシオマネキの新規加入量調査の結果,3つの自然干潟全てにおいて,大潟人工干潟浚渫土区を有意に上回った(2~5倍程度).環境に関して,まず底質の粒度組成は全地点においてシルト+粘土分が50%を超える泥質であったが,自然干潟では大潟人工干潟と比較して砂分の割合が高い傾向にあった.また,強熱減量は全ての干潟において5%前後と比較的低い水準であり,人工・自然干潟間で明確な違いは見られなかった.優占種の餌となる底生珪藻量は,自然干潟において人工干潟より有意に高かったこれらの結果より,浚渫土による造成後15年が経過した大潟人工干潟浚渫土区における底生生物の分布パターンは,一部の生物種においては自然干潟の状況と非常に類似しているが,その他多数の種に関しては,生息密度もしくは新規加入量が低水準に制限されていることが明らかとなった.
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