2010 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛容誘導因子Gpnmbの発現抑制による犬悪性黒色腫の新規免疫療法に関する研究
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21880008
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
富張 瑞樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (00552754)
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Keywords | 獣医学 / 腫瘍 / 悪性黒色腫 / 免疫療法 / 生体分子 / 犬 |
Research Abstract |
犬の悪性黒色腫は口腔内腫瘍の中で最も発生頻度が高い悪性腫瘍であり、新たな治療法の開発が試みられている。本研究では、悪性黒色腫において免疫寛容を誘導するGpnmb(Glycoprotein nmb)蛋白質に注目し、この経路の詳細な解明を行うことで、より奏効率の高い免疫療法を確立することを目的としている。 平成22年度では、前年度に明らかとしたGpnmb遺伝子配列を基に、犬悪性黒色腫細胞株、ならびに犬悪性黒色腫自然発症犬から採材した生検組織に対し、mRNAレベルでの詳細な発現解析を行った。この結果、細胞株ならびに自然発症犬組織のどちらにおいてもGpnmbの発現が認められたが、とくに罹患症例におけるGpnmbのmRNA発現量が著しく増加していた(症例A:108.3,症例B:47.82に対し、その他の口腔内腫瘍症例:2.45±1.95)。またGpnmbは悪性黒色腫に特異的と言われる腫瘍関連抗原(ex,gp100)と同様な発現動態を呈しており、これらを標的とした治療法との組み合わせの有効性が十分に示唆された。一方で、Gpnmbと同様な役割を担う他の免疫寛容因子(PDL1,PDL2,HVEM)などの中において、Gpnmbが最も多いmRNA発現量を認めた。 本年度の成果により、Gpmnbが悪性黒色腫において主要に発現される免疫寛容因子であること、とくに罹患症例における重要性は非常に高いものと考えられた。Gpnmbの量的な重要性が明らかとなったことから、次には、未だ解明されていない犬Gpnmbの質的な重要性を詳細に検討していくことが必要である。今後は症例数を増やしていくとともに、蛋白質レベルでの解析、ならびに免疫寛容誘導能の精査を行うことにより、これまで到達し得なかった悪性黒色腫に対するより実効性の高い新たな免疫療法の開発を試みていく予定である。
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Research Products
(3 results)