2009 Fiscal Year Annual Research Report
法医学的ストレスに対する交感神経反応を定量的に解析する
Project/Area Number |
21890010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 識志 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (90546144)
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Keywords | 法医学 / ストレス / 交感神経系 |
Research Abstract |
当初の計画で定量指標として掲げた、カテコラミン合成酵素のmRNA産生量については、RNA分解酵素により容易に分解され、そのままでは法医実務的な応用が難しいという問題点がある。そこで新たな定量指標として、20~25bpの1本鎖RNAであるmibroRNA(miRNA)を候補に挙げた。miRNAは現在まで約800種類が同定されているが、その機能には不明な点が多く、法医学的な先行研究は殆どない。本年度はmiRNAの発現量の死後変化による影響を検証した。未刺激下で過麻酔により安楽死させたラットを死後経過時間により4群(死亡直後・6時間後・12時間後・24時間後)に分け、各群から心臓・肺・肝臓・腎臓・脾臓・胸腺の6臓器を摘出し、RNA保存液処理を加えた。各臓器のホモジェネートから、キットを用いてmiRNA分画を分離後、miRNA特異的なプライマーを用い、成熟型miRNAを逆転写しcDNAとした。ラットの臓器特異的マーカーとされるlet-7a、let-7b、miR-16、miR-26a、miR-124、miR-1、miR-122を対象とし、snoRNA、U6 snRNAを内在性コントロールとした。上記マーカーにつき、リアルタイムPCR(TaqMan法)による定量を、ΔΔCt法を用いて行った。その結果、死亡直後の試料において、miR-1は心臓で、またmiR-122は肝臓で高発現であることが確認できた。また、死後経過時間との関連については、いずれの群でも大多数のマーカーが確認された一方、死後経過時間と各マーカーの発現量との間には関連性が認められなかった。miRNAの安定性に関する評価は、絶対定量法を用いて行う必要があると考えられ、次年度以降の課題となった。
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