2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌微小環境でのアシアロ糖蛋白質レセプターを介した癌免疫相互作用についての研究
Project/Area Number |
21890044
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 芳弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10541956)
|
Keywords | アシアロ糖蛋白質レセプター / がん転移 / MMP-9 / EGFR / ERK |
Research Abstract |
新たに樹立したin vivo動物モデルを用いたアプローチを用いてがん細胞上のGal/GalNAc型糖鎖とそれを認識するASGPRを介した相互作用によって制御される転移能の獲得プロセスのがん転移病態における重要性について明らかとした。1.FasLによるアポトーシス誘導に対する感受性についてマウス3LL肺癌細胞でASGPRとの相互作用の有無によって検討したが、明らかな差異は認められなかった。またASGRl-/-におけるT細胞、NK細胞のサブセットについて解析を行ったが野生型マウスと比較して明らかな差異は認められなかった。2.転移評価モデルとしてマウス3LL細胞を用いた肝原発巣からの自然肺転移モデルの作製に成功した。この自然転移モデルを用いて、ASGRI-/-では原発巣からの肺転移が野生型マウスに比較して減少する事を示した。in vitroでrASGR1との供培養後の転移巣形成能が増強された。in vitroにおいてrASGR1刺激によって3LL細胞の浸潤能、及びマトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP-9)の産生増強が認められたことからASGPRは3LL細胞と直接相互作用をする事で細胞浸潤やMMP産生などのがん転移能を制御している可能性を示した。rASGR1により誘導される3LL細胞からのMMP-9産生にはEGFRおよびERK経路を介したシグナルが重要であることを示した。以上の結果からASGPRはがん転移を促進しEGFR-ERK経路を介してがん細胞を活性化し得るレクチンとして、がん転移病態の形成を含めたがん悪性化のプロセスにおいて重要な役割を担っている事を新たに示した。
|
Research Products
(7 results)