2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管柄付き脊髄移植の脊髄再生医療における可能性の検討
Project/Area Number |
21890060
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 和希 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (40508090)
|
Keywords | 脊髄損傷 / 中枢神経再生 / 血管柄付き神経移植 / マクロサージャリー |
Research Abstract |
【目的】血管柄付き神経弁は、シュワン細胞が高率に生着するため従来の神経移植に比べて優れた神経再生が得られることが判明している。これまで当科では様々な症例に対して血管柄付き神経移植を行い、良好な結果を得ている。今回は脊髄損傷ラットを用いて、この技術、概念の中枢神経への応用を検討した。【方法】過去にラットで肋間神経を束ねた形で切断部に移植し、軸索伸長と機能回復が認められたという報告が世界中で注目を浴びたが、手技が複雑なため十分な数の追試が試みられていない。今回この報告の追試としてのgroup (groupAとする)と、この方法に準じて作成した脊髄損傷モデルに血管柄付き神経移植を行ったgroup (groupB)とで組織学的に比較を行った。GroupAでは250gのメスのSD系ラット4匹に対し、フリーで末梢神経(肋間神経)の移植を行いβFGFを投与、移植神経をフィブリン糊で固定した。また血管柄付き末梢神経移植をおこなったgroup (GroupBとする)はgraupAの場合と同様に作成した脊髄損傷ラットに血管柄付き末梢神経(肋間神経)移植をisland nerve flapとして行った。術後10日で組織学的評価を行った。【結果】フリーで移植をしたgroupAではほとんどの場合組織が壊死・崩壊しており、生着しても瘢痕組織が増生していた。またフィブリン糊は周囲に線維芽細胞の出現が著明であり神経再生を阻害する要因とも考えられる所見であった。GroupBの血管付き神経移植のものは移植組織の形態は維持されており、KB染色上もシュワン細胞が生着していることが確認された。【総括】今回は術後に十分なフォローアップ期間を設けることができなかったが、線維性瘢痕を抑えることが中枢神経再生の問題点を克服するポイントであることが再生医療の分野でも指摘され続けており、マイクロサージャリーによる血行を有した神経の移植はこの問題のブレイクスルーになり得ると考えられた。
|
Research Products
(3 results)