2010 Fiscal Year Annual Research Report
アリールハイドロカーボン受容体を介したNASHの新たな進展機構の解明
Project/Area Number |
21890139
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三木 章 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40514964)
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Keywords | NASH / ダイオキシン受容体 |
Research Abstract |
非アルコール性脂肪肝炎(Nonalcoholic steatohepatitis;NASH)は、単純性脂肪肝から肝炎を発症し、肝硬変・肝がんにいたる進行性で予後不良な疾患である。動物実験レベルでは、環境汚染物質と脂質代謝障害・脂肪肝の発症との間に関係があると報告されており、NASHと環境汚染物質の関係を解明することは重要と考える。様々な環境汚染物質が細胞質内にあるアリールハイドロカーボン受容体(AHR)に結合し、種々の反応を惹起することが知られている。申請者はAHRの活性化、つまり環境汚染物質がNASHの進行に関わっているのではないかと考え、その関係を明らかするため、研究を行った。今年度はマウスを使用し、AHRの活性化が肝臓に与える影響を検討した。AHRのリガンドである3メチルコラントレン(3MC)を腹腔内投与すると、8時間後には肝の脂肪化を認め、肝内の中性脂肪量と脂肪酸量の有意な増加を認めた。またAHR活性化による肝脂肪化には、肝細胞に脂肪酸を取り込むトランスポーターであるfatty acid translocase (FAT)の機能亢進が関与していうことを明らかにした。同時にperoxisome proliferator activated receptor alpha (PPARα)のmRNAも増加していることを確認しており、FATの機能亢進に関与していた。AHR刺激によりPPARαが活性化していることを明らかにした。これらの結果は、AHRの活性化が肝脂肪化に深く関わっていることを示すものである。AHRの活性化による肝への影響を検討することにより、NASHの病態解明に迫ることができる可能性がある。
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Research Products
(1 results)