2010 Fiscal Year Annual Research Report
多発性嚢胞腎の新たな発症機序の解明-腎近位尿細管のPTENとEGF受容体の役割-
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21890170
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長井 幸二郎 徳島大学, 病院, 講師 (40542048)
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Keywords | PTEN / EGF受容体 / 多発性嚢胞腎 |
Research Abstract |
まずはヒト多発性嚢胞腎に類似した病態を示すマウスモデルである近位尿細管特異的PTENノックアウトマウスに関する解析だが、その嚢胞形成が細胞増殖由来であり、アポトーシスやciliaによる影響ではないことが示唆されたため、そのメカニズムについては論文を作成し、投稿準備中である。 さらに念のため2年までマウスの成長をおったが、この系では期待された癌形成はみられなかった。次にこれまでの論文からEGF受容体は嚢胞腎においてその発現部位を管腔側に移動し、嚢胞液の分泌に寄与するといわれていることから、EGF受容体をPTENと同時にノックアウトしたマウスを作成し、EGF受容体が嚢胞形成に影響を及ぼすかどうか検討することを試みた。多数の交配をへてダブルノックアウトマウスは作成されたが、ラインによってCre recombinaseの働きが強いものと弱いものがあることが確認された。言い換えると、シングルノックアウトの場合100%ノックアウトされていたが、ダブルノックアウトにした場合、全くノックアウトされないライン、半分程度しかノックアウトされないライン、逆に完全にノックアウトできるラインなどが混在することがわかった。その中で完全にダブルノックアウトされるものだけを選別し、現在解析のために月齢をそろえ、マウスの数を増やしているところである。PTENノックアウトによる嚢胞形成が確実に認められるのが1年後であるため、検討まで時間を要している。
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