2010 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンによるリポ蛋白リパーゼ活性化におけるAngptl4機能の解明
Project/Area Number |
21890198
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
足立 博紀 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (90555781)
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Keywords | Angptl4 / インスリン / リポ蛋白リパーゼ / 家族性高脂血症 |
Research Abstract |
糖尿病状態ではインスリン作用不足によりリポ蛋白リパーゼ(LPL)活性低下し中性脂肪(TG)値が上昇する。Angiopoetin like protein 4(Angptl4)という分泌蛋白は、LPLを不活性化することが報告されており、さらにin vitroの系においてインスリンがAngptl4の発現を抑制することが報告されている。そこで本研究ではAngptl4 KOマウス、ストレプトゾシン(STZ)投与糖尿病マウス等を用い、インスリン欠乏下でのAngptl4の役割の解明を行った。 125mg/kg・STZ単回投与にてインスリン欠乏性の糖尿病を誘導したAngptl4 KOマウスでは、WTマウスと比べTG上昇を抑制し、またolive oil経口負荷によるTG上昇を抑制することを見出した。この結果は、インスリン欠乏によるLPL活性低下がAngptl4を欠失することにより抑制された可能性を示す。また、STZ誘導性インスリン欠乏糖尿病Angptl4 KOマウスでは、STZ非投与Angptl4 KOマウスと比較し空腹時のTGに差がなかった。このことは、インスリン欠乏状態におけるTGの上昇が、主としてAngptl4を介して行われている可能性を示唆した。 また、家族性高脂血症患者はLDL受容体異常により高コレステロール血症を呈する疾患であるが、血清TG高値群で虚血性心疾患の合併率が高いことが報告されている。 我々が作製したAngptl4/LDLR DKOマウスでは、空腹時の血清脂質を改善した。さらにolive oil経口負荷によるTG上昇を抑制することを見出し食後脂質異常症も改善した。 以上よりAngptl4抑制は家族性高脂血症または糖尿病合併脂質異常症新規治療法開発に新たな展開をもたらす可能性があると考えられた。
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