2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラット膀胱蓄尿期におけるRho-kinaseの役割
Project/Area Number |
21890205
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
塩見 誉 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (10554181)
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Keywords | Rho-kinase / 膀胱 / 蓄尿期 / 伸展刺激 |
Research Abstract |
静止張力を負荷した膀胱切片にRho-kinase (ROK)阻害剤Y-27632、HA-1077、ニフェジピンを投与すると、その張力は容量依存性に低下した。一方、アトロピン(抗コリン拮抗薬)、PPADS(抗プリン拮抗薬)を投与するも、膀胱切片の張力は変化しなかった。これらの結果から、静止張力を負荷された膀胱切片ではROKが活性化して膀胱緊張に寄与していること、その緊張には細胞外のCa^<2+>が関与していることが示唆された。また静止張力負荷時のROK活性化の機序は、伸展刺激によって放出される膀胱上皮からのアセチルコリンやATPなどが受容体を刺激するautocrines作用ではなく、Ca^<2+>自体によるROKの活性化(Ca^<2+>-induced Ca^<2+>-sensitization)もしくはそれ以外の径路を介することが示唆された。次に、Western blottingで協PT1(ROKの標的であるMLCPのサブユニット)のリン酸化率を測定することで、膀胱切片は静止張力負荷時にROK活性が増強し、その活性化はY-27632で非伸展時よりも抑制されることを確認した。この結果から、膀胱切片では内因性のROK活性が存在し、その活性は伸展刺激により増加することでトーヌスが増強することが示唆された。また、Ca^<2+>非存在下の膀胱切片においても伸展時のMLCPのリン酸化を測定したが、結果はCa^<2+>存在下の膀胱切片と同様に伸展時にROK活性が増加した。よって、伸展刺激によるROKの活性化はCa^<2+>非依存性であることが示唆された。Whole bladder studyでは、ROK阻害剤が実際に膀胱コンプライアンスを増加させることを確認した。膀胱は蓄尿により伸展することでROKが活性化し、膀胱緊張を維持するメカニズムが考えられ、このメカニズムは膀胱蓄尿障害の治療のターゲットになりうると思われる。
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Research Products
(1 results)