2009 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ新規治療ターゲットとしてのBCMA分子の関節炎への病的関与の解明
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21890242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
永谷 勝也 Jichi Medical University, 医学部, 講師 (50508752)
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Keywords | 関節リウマチ / BCMA / APRIL / 線維芽細胞様滑膜細胞 / エピジェネティクス / PU.1 / OBF.1 / 分子ターゲット療法 |
Research Abstract |
我々はAPRILとその受容体であるBCMAが関節リウマチ(RA)患者の関節線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)に発現しており、RA患者では血清APRIL濃度が有意に高いことを見い出した。さらに、FLSにin vitroでAPRILを添加すると、FLSの有意な増殖と、炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-1β、IL-6および破骨細胞分化因子であるRANKLmRNA発現が有意に増加することを示した。 我々はまず、これまでB細胞の生存因子の一つと考えられていたAPRILとその受容体であるBCMAがRA患者FLSに病的に発現しているメカニズムについて検討した。エピジェネティクスは、ゲノムDNAの後天的な修飾、制御によってゲノム情報を活用する高次の生体システムである。RAのように、遺伝因子や環境因子のような異なる複数の病因が複雑に関与する疾患では、エピジェネティクスが、その両者の橋渡しをする要素として注目されている。 PU.1およびOBF.1はBCMAの発現調節に関わる転写因子およびコアクチベーターとして報告されている。エピジェネティクなPU.1およびOBF.1発現調節の破綻が、病的なBCMA発現の-因である可能性があると予測し、RAと疾患コントロールの変形性関節症(OA)患者FLSにおいて、PU.1およびOBF.1遺伝子の発現について比較検討した。その結果、RA患者では、疾患コントロールのOA患者FLSと比して、PU.1およびOBF.1遺伝子の発現が有意に亢進していることが示された。 以上の検討から、エピジェネティクなPU.1およびOBF.1発現亢進がBCMAの病的発現亢進に関与し、RA患者FLSにおいてはAPRIL-BCMAのオートクラインループが形成され、炎症性サイトカインや破骨細胞分化因子の発現を亢進させることによりRAの病態に関与している可能性が示唆された。
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