2010 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ新規治療ターゲットとしてのBCMA分子の関節炎への病的関与の解明
Project/Area Number |
21890242
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
永谷 勝也 自治医科大学, 医学部, 講師 (50508752)
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Keywords | 関節リウマチ / 線維芽細胞様滑膜細胞 / APRIL / BCMA / IL-33 / 分子ターゲット療法 |
Research Abstract |
我々はAPRILとその受容体であるBCMAが関節リウマチ(RA)患者の関節線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)に発現しており、RA患者では血清APRIL濃度が有意に高いことを見い出した。さらに、FLSをin vitroでAPRILにて刺激すると、FLSの有意な増殖と、炎症性サイトカインであるTNF-α、 IL-1β、 IL-6および破骨細胞分化因子であるRANKLmRNA発現が有意に増加することを示した。 次に、当施設に通院中のRA患者34人に対してTNF阻害薬を使用した。6ヶ月後の評価で16人が有効、18人が無効と判断された。6ヶ月後のTNF阻害薬無効群と比して、TNF阻害薬有効群では有意に血中IL-33濃度が低下していた。TNF阻害薬有効群では、関節液中IL-33濃度が著明に低下していた。また、関節液中IL-33濃度は関節液中IL-1β濃度と有意な正の相関関係を認めた。 さらに、RA患者FLSを用い、in vitroでサイトカイン刺激を行い、RA患者FLSにおけるIL-33遺伝子発現を定量的PCR法を用いて調べた。RA患者FLSをAPRIL、 TNFα、 IL-1βにて刺激後のIL-33遺伝子発現を定量的PCR法を用いて調べたところ、APRIL、 TNFα、 IL-1β刺激にてIL-33遺伝子発現の増加を認めた。 IL-33はIL-1ファミリーに属し、NF-κBやMAPキナーゼシグナル活性を介して炎症に関与する炎症性サイトカインの一つである。我々の検討から、APRIL刺激により関節リウマチ患者FLSからIL-33が産生されることから、APRILとその受容体であるBCMAのシグナルは、炎症性サイトカインであるIL-33産生を介して関節リウマチの病態形成に関与している可能性が示唆された。
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