2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳内に潜伏感染するヘルペスウイルスによる,気分障害の発症および病態変化の研究
Project/Area Number |
21890260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 伸行 Jikei University School of Medicine, 医学部, 助教 (20385321)
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Keywords | 気分障害 / ヒトヘルペスウイルス6 / 精神疾患動物モデル / 慢性疲労症候群 / うつ病 / アストロサイト / SITH-1 / 潜伏感染 |
Research Abstract |
【研究の目的】 本研究は,我々が発見したHHV-6の潜伏感染特異的遺伝子タンパクSmall protein encoded by the intermediate stage transcript of HHV-6(SITH)-1と気分障害との関連を明らかにすることを目的とした.本年度は,in vitroでのSITH-1の機能解析を中心に行った.とくにSITH-1のカルシウムシグナルに対する影響を検討した. 【方法】 レトロウイルスベクターを用いて,SITH-1安定発現細胞を構築した.この細胞をCa^<2+>-ATPase阻害薬であるthapsigarginで刺激し,細胞内カルシウム濃度の変化をカルシウム蛍光試薬fura-2AMを用いて検討した.さらに,カルシウム結合タンパクであるS100βの発現を,蛍光抗体法およびreal-time RT-PCRにて検討した. 【結果・考察】 SITH-1発現細胞では,thapsigarginによるカルシウム反応性の亢進が起こっていることがわかった.また,S100βはタンパクおよびmRNAレベル両方で発現が亢進していた. 気分障害患者ではSITH-1抗体陽性率が高いことから,SITH-1を原因とする気分障害の存在が疑われたが,そのメカニズムは全く不明であった.気分障害ではカルシウムシグナルの異常が指摘されており,本研究により,SITH-1は細胞内カルシウムシグナルの異常を介して,気分障害発症の原因の一つとなり得ることが示唆された.また,SITH-1と気分障害との関連が明らかになれば,SITH-1に対する抗体検査により,気分障害の客観的診断が可能となること期待される. 今後,ウイルスベクターを用いてSITH-1をマウス脳に発現させることにより,気分障害の新規動物モデルを開発し,気分障害の発症機構を解明することを目指している.
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Research Products
(3 results)