2010 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いた難治性中枢神経腫瘍に対するホウ素中性子捕捉療法の新規適応の可能性
Project/Area Number |
21890283
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
宮田 至朗 大阪医科大学, 医学部, 非常勤医師 (30550230)
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Keywords | 脳腫瘍 / PET / アミノ酸 / LAT-1 / 中性子捕捉療法 / BPA / 転移性脳腫瘍 / 画像診断 |
Research Abstract |
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy ; BNCT)は"細胞選択的粒子線治療"であり、悪性神経膠腫のごとく浸潤性の腫瘍に対し効果が期待さる。照射線量は、用いられるホウ素化合物の分布によって決定され、近年PET (positron emission tomography)検査の導入により、その技術は飛躍的の向上している。最近PETを用いて、BNCTの新規適応拡大に応用する試みがなされているが、検査に用いるF-BPAの薬物動態や、治療に用いるBPAとの比較など、未だ詳細には検討されていない。本申請では、標準治療のない難治性臨床例に本検査を適用し、BNCTの新規適応の可能性を探索するとともに、BPAとF-BPAの動態につき基礎的研究を行い、本検査法による適応判断の妥当性を検証することを目的とする。これまでの臨床症例において、BPA-PETを術前に施行した例を中心に組織学的検討を加え、主たるトランスポーターと考えられるLAT-1の免疫染色を施行し、BPA-PETで高いL/N比を示した症例でLAT-1が強陽性となる傾向を認めた。これによれば、基本的に神経膠腫では染色強度は悪性度に依存して上昇したが、低悪性度の神経膠腫には一部染色が強陽性となった。しかしながら染色は主に、腫瘍の栄養血管に強い傾向があり、腫瘍細胞そのものではなかったため、BNCTへの適応は慎重であるべきと考える。実験系では、F-BPAとBPAの集積には若干の解離がみられており、その後の検討ではアミノ酸の光学異性体の含有率など、微細な相違が関与していることが考えられた。また、臨床例では新規にPETを施行し、多くの転移性脳腫瘍では中等度の集積にとどまることが解った。転移性脳腫瘍に対しBPAを用いたBNCTの適応を判断する際には、BPA-PETは必須の検査と考える。
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Research Products
(11 results)