2010 Fiscal Year Annual Research Report
発熱炎症病態下におけるオセルタミビル及び非ステロイド性抗炎症薬の中枢毒性発現機構
Project/Area Number |
21890294
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
安藝 敬生 長崎大学, 大学病院, 技術職員 (50510179)
|
Keywords | 脳神経疾患 / ジクロフェナクナトリウム / 血液脳関門 / ペリサイト |
Research Abstract |
現在、インフルエンザ治療薬であるオセルタミビル服用後の異常行動やジクロフェナクナトリウムによるインフルエンザ脳炎・脳症の誘発または症状悪化が大きな社会問題となっている。しかし、これら薬剤と有害事象との関連性は未だ不明である。そこで本研究では、インフルエンザ罹患時の代表的な症状である発熱・炎症病態下におけるオセルタミビルおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の脳移行性変化とこれに伴う血液脳関門(BBB)及び神経細胞機能障害を解明することを目的とした。 本年度は、昨年度構築した活性化ミクログリア共培養でのin vitro BBB炎症モデルを用いて、NSAIDsのBBB透過性を評価した。また熱負荷BBBモデルの構築を試みた。さらに炎症時のBBB病態におけるペリサイトの役割について検討した。本年度の成果は以下のとおりである。 1. BBB炎症モデルでのジクロフェナクナトリウムの透過性には変化は認められなかった。 2. 高温度負荷(38-41℃)により、脳血管内皮細胞のNa-FおよびEBA透過係数は、温度依存的に増加した。またこのときの細胞傷害は認められなかった。本モデルはBBB発熱モデルとして有用である。 3. 炎症病態下によりBBB構成細胞であるペリサイトはMMP-9などを放出し、BBB機能低下を引き起こしていることが分かった。 以上、本研究は、新たに炎症・発熱時のin vitro BBBモデルの構築を行った。また炎症病態下BBBでのペリサイトの役割に関する分子機構を明らかとした。
|