2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21890306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山路 剛史 The Institute of Physical and Chemical Research, 哺乳類生殖細胞研究チーム, 研究員 (20548987)
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Keywords | 始原生殖細胞 / RNA結合タンパク質 / Tial1 |
Research Abstract |
申請者は、(1)始原生殖細胞(PGCs)において重要な役割を果たす翻訳及びスプライシング制御因子Tial1の標的RNAを解析し、その分化過程におけるTial1を中心とした転写後遺伝子発現制御ネットワークを同定し、(2)移動期PGCsの恒常性を維持する分子メカニズムを解明することを長期的な目標として見据え、Tial1が結合するRNA分子をゲノムワイドに同定する事が可能なプルダウン法及び増幅法の開発を行う事を計画した。本研究はTag付きTial1タンパク質を用いた技術基盤の確立と、ノックアウトマウスを用いた研究結果の検証から成る。申請者らはまずノックアウトマウスを海外より入手し、内在性Tial1タンパク質の機能を正確に再現するTag付きTial1の作製に取りかかる予定であったが、Tial1ノックアウトマウスが現時点において途絶えていることが判明した。Tag付きTial1タンパク質が内在性Tial1タンパク質と同等の機能を持つか検証するためには、ノックアウトマウスは不可欠である。そこで予定を変更し、申請者らはTial1ノックアウトマウスの作出に着手した。Tial1は3つのRNA結合ドメインを有するRNA結合タンパク質であるが、申請者はこれらすべてのRNA結合ドメインを発現しないよう、Exon2のスプライシング受容部位を欠失し、さらにフレームシフトにより他のアミノ酸配列の合成もストップするようデザインしたターゲティングベクターを作製した。エレクトロポレーション法を用いてこのベクターをES細胞に導入し、Tial1ヘテロ変異ES細胞の候補株を19クローン得た。これらについて5'probe,3probe,neo probeを用いてサザンプロッティング解析を行い、最終的に9クローンのTial1ヘテロ変異ES細胞株を得た。現在、このうち3クローンを用いてキメラマウスを作成中である。今後、これらのマウスからTial1ノックアウトマウス、ノックアウトES細胞を樹立し、内在性Tial1と機能的に相同なtag付きTial1タンパク質の設計と機能的裏付けを取った後に、Tial1が結合するRNA分子をゲノムワイドに同定する事が可能なプルダウン法及び増幅法の開発に取りかかる予定である。
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