2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21890306
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山路 剛史 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (20548987)
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Keywords | TIAR / 始原生殖細胞 / RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
申請者は、(1)始原生殖細胞(PGCs)において重要な役割を果たす翻訳及びスプライシング制御因子Tial1の標的RNAを解析し、その分化過程におけるTial1を中心とした転写後遺伝子発現制御ネットワークを同定し、(2)移動期PGCsの恒常性を維持する分子メカニズムを解明することを長期的な目標として見据え、Tial1が結合するRNA分子をゲノムワイドに同定する事が可能なプルダウン法及び増幅法の開発を行う事を計画した。本研究はTag付きTial1タンパク質を用いた技術基盤の確立と、ノックアウト(KO)マウスを用いた研究結果の検証から成る。申請者らはまずKOマウスを海外より入手し、内在性Tial1タンパク質の機能を正確に再現するTag付きTial1の作製に取りかかる予定であったが、Tial1 KOマウスが現時点において途絶えていることが判明した。そこで予定を変更してTial1 KOマウスの作製に着手した。3クローンのES細胞由来のTial1 KOマウスを得、それらが生殖細胞形成異常を示す事を確認した。先行研究よりTial1にはパラログとしてTia1が存在し、両者は機能的に等価である事が示されている。これはTia1の存在は、Tial1研究をより複雑なものにする可能性が考えられる。そこで、Tial1とTia1の生殖細胞系列における遺伝子発現動態を解析した。その結果、両者ともに、転写レベルでは生殖細胞系列において一貫して発現する事が示された。しかし興味深い事に、生殖細胞系列特異的に翻訳レベルでTia1の発現が抑制されていることを見出した。これは、Tial1の標的mRNAを評価する上で、Tia1の影響を無視出来る事を示す。今後、Tag付きTial1発現マウスを作製し、Tial1が結合するRNA分子をゲノムワイドに同定する事が可能なプルダウン法及び増幅法の開発に取りかかる予定である。
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Research Products
(3 results)