2009 Fiscal Year Annual Research Report
2009年7月中国・九州北部の豪雨による水・土砂災害と防災対策に関する研究
Project/Area Number |
21900001
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
羽田野 袈裟義 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 教授 (70112307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安福 規之 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20166523)
兵動 正幸 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40130091)
橋本 晴行 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70117216)
久保田 哲也 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40243381)
福岡 浩 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40252522)
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Keywords | マサ土 / 土石流災害 / 流動特性 / 数値シミュレーション / 土砂氾濫の予測計算 / 地域防災計画 / 災害情報 / 避難行動 |
Research Abstract |
災害概況:山口県防府地域で7月21日6時から正午の6時間に250mm超の豪雨があり、佐波川沿いのマサ土地域の一帯で、計200か所の土石流・崩壊が発生し、17名の犠牲者が出た。九州北部では、7月24日夕方から26日に大宰府618mmをはじめ飯塚、篠栗、福岡空港、九千部山で500mm超の豪雨があり、篠栗町と福智町で25日未明、大野城市と筑紫野市で26日昼頃に崩壊が発生するなど、1262か所で崖崩れが発生し、10名の犠牲者が出た。 土砂災害の実態調査の結果:防府地域では、崩壊源頭部の傾斜は山腹と尾根で20~30度、頂上付近の沢部の35~40度であった。防府の土砂災害は、巨礫堆積後の土砂流による埋没である。降り始めから崩壊発生までの累計雨量は防府で200mm程度、篠栗町と福智町で280mm程度で、地質による差異が出た。節理面に沿う崩壊が多い事や土質実験の結果から、崩壊発生には堆積層内の過剰間隙水圧発生の関与が示唆された。土石流の流動解析から、石原地区のピーク流量400m3/s、速度8.1m/s、流砂濃度0.36と評価された。汎用土石流シミュレータによる土砂流出計算の結果は空撮結果を良好に再現した。砂防施設の有効性は実現象でも計算でも確認された。また、砂防施設の平時の堆積物除去の必要性が明らかになった。土石流の流木災害では広葉樹は針葉樹より災害が小さく、マサ土地域の緩勾配部で樹林の土砂捕捉効果を示唆する結果を得た。 防災・避難情報の伝達と警戒避難体制の整備の調査の結果:水害の人的被害の発生原因別被害は、防府では建物倒壊や浸水後の移動中11名、車で移動中3名であった。土砂災害計画区域指定の際の住民説明の実態調査から説明会で地域の危険性の周知が不十分なことが浮き彫りになった。行政への聴取により、防災・避難情報の収集・伝達や警戒避難体制の整備状況や土砂災害警戒区域の指定に伴う警戒避難体制の整備状況と問題点を明らかにし、奈美地区の災害時の住民の対応や行動を調査し課題の指摘と解決策提案を行った。
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Research Products
(29 results)