2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21902009
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Research Institution | 長野市教育委員会(博物館) |
Principal Investigator |
原田 和彦 長野市教育委員会(博物館), 長野市立博物館, 学芸員
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Keywords | 真田家 / 典籍 / 松代真田家別邸 |
Research Abstract |
近世大名・真田家は、信濃国松代(現在の長野市松代町)に城を構え10万石を領した信濃の有力大名である。真田家は江戸時代を通して松代城を拠点とし、他領へ移ることがなかったため多くの文化財を有し、その多くを真田宝物館が所蔵する。本研究においては、収蔵総数が1万点余りにのぼると目される真田宝物館所蔵の真田家伝来典籍の伝来やその集積の経緯について解明した。 この研究においては、まずは国文学研究資料館や真田宝物館が所蔵する真田家文書の中に伝えられている、江戸時代の典籍に関する目録を収集して解読した。このうえで、どの時期に真田家が典籍を集積したのか、そしてどのような種類の典籍が対象となったのか、ひいては藩主やその夫人がどのような文庫を形成したのかを解明した。この結果、現在残されている典籍の多くは、幕末期の藩主やその夫人のものとの結論に達した。 以上のような成果をもとにして、現存する典籍と照合を行うことで、現在まで伝えられた典籍の性格付け、具体的には、典籍が収蔵されてきた場所の特定と、それに伴う典籍の性格付けを行った。そこから得られた結論として、第一に、真田家伝来の典籍は、藩校である文武学校やその後身である松代藩学校、松代県学校への貸し出しがなされていたこと、そして廃藩置県によりこれら学校が廃校となると、貸し出されていた典籍はそのほとんどが恩賞として分け与えられたことがわかった。第二に、真田家の典籍が収められていた、長野市松代町の「松代真田家別邸」の性格は、明治時代以降の道具の収蔵施設という性格が強く、その前史は、松代城の下屋敷という性格を持つ。このことから、真田宝物館所蔵の典籍の性格は、下屋敷に実際に居住した人物のものがベースになっていることもわかった。
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Research Products
(4 results)