2009 Fiscal Year Annual Research Report
中学校理科におけるコミュニケーションを通した仮説設定能力の育成
Project/Area Number |
21906013
|
Research Institution | 茨城県龍ヶ崎市立城南中学校 |
Principal Investigator |
小林 和雄 茨城県龍ヶ崎市立城南中学校, 教員
|
Keywords | 仮説 / 仮説設定能力 / コミュニケーション |
Research Abstract |
「なぜ」のような自然科学の本質的な問いを探究するには,その「なぜ」を説明する仮説の設定が必要になる。しかし,これまで「なぜ」の問いの探究は,学級全体で実践するには多種多様な困難があり,必修理科における仮説設定を伴う探究的な学習の実践的研究はほとんど進んでいない。中学生が理科学習において,自然の事物・現象が生起する因果関係の説明である仮説を設定し,その仮説を検証可能な仮説に収斂するような仮説設定能力を育成するとき,教師や仲間とのコミュニケーションの活性化が,その正否の鍵を握る。 そこで本研究では,仮説設定場面における生徒間のコミュニケーションに着目し,生徒が仮説設定場面において,どのようなコミュニケーションをするのかや,教師のどのような支援が生徒のコミュニケーションを活性化し,生徒個人で設定した仮説を洗練したり,検証可能な仮説に収斂したりできるのかを解明することを研究の目的とした。そして,文献調査や授業実践及びその授業分析を繰り返すことによって,次の3点が明らかになった。 (1)「なぜ」の問いに対する個人の仮説を大きめの付箋紙に記述させ,4人程度で構成する学習グループで,一人一人がホワイトボードにその付箋紙を貼りながら,自分の仮説を仲間に説明することによって,仲間の仮説と自分の仮説を比較検討させることは,仮説を洗練したり,類型化して収斂し,仮説の対立点を見い出したりするのに有効であること。 (2)仮説設定場面で,自然現象の因果関係を,力の作用やエネルギー及び物質の性質や変化で説明するよう生徒に助言することによって,生徒が日常的な説明を脱却して科学的な説明をするのに有効であること。 (3)観察した事実と,観察した事実が生起した原因やしくみの説明の違いに,教師や仲間とのコミュニケーションによって気付かせることが,生徒に検証可能な仮説を設定させるのに有効であること。
|
Research Products
(1 results)