2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21907020
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
平川 公明 Hirosaki University, 教育学部附属小学校, 教諭
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Keywords | 法的な見方考え方 / 言語主義的な思考 / ロールプレイング |
Research Abstract |
本研究では,先行研究・実践の分析及び授業構成モデルの構想に取り組み,授業の開発・実践・検証を積み重ねることによって次の三点を明らかにした。 第一に,法的な見方考え方を育成する上で従来の実践には二点の問題点,すなわち法を静態的なものとして捉えた学習内容と言語主義的な思考に陥った討論がある。 第二に,小学校社会科の授業においても,現行学習指導要領に準拠あるいはその発展というかたちで「権威」「正義」など法学の基礎的知識に基づいた学習,つまり法的な見方考え方の育成が可能である。 第三に,仮説-検証型社会科授業の仮説設定段階にロールプレイングを位置づけることで,言語主義的な思考に陥った討論を克服することができる。 本研究の意義は次の三点に集約できる。 第一に,法的な見方考え方を育成するためには,授業目標・内容だけでなく授業方法の改善も必要であることを論理的に明らかにすることができた。小学校社会科授業の問題点として,言葉と経験とが遊離している言語主義的な思考状況を指摘できたことは,授業構成モデルを構想する上で重要な突破口となった。 第二に,法的な見方考え方を育成するためには,学習内容と子どもの経験との関連が重要であることを論理的・実践的に明らかにすることができた。また,そのための方法としてロールプレイングの意義を改めて確認することができた。 第三に,法的な見方考え方を育成する授業の開発・実践・検証を繰り返す中で,一般化が容易だと思われる二つの授業(6年生「わたしたちのくらしと憲法」,4年生「地域のごみ問題を考えよう」)を現場の小学校教員に公開することができた。また,特に6年生の授業に関しては,学会発表や論文に結実させることもできた。本研究の成果を基にした授業実践が今後広がりを見せることも期待できる。
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Research Products
(2 results)