2009 Fiscal Year Annual Research Report
自閉的傾向のある生徒の特性に配慮した道徳教育の取り組み
Project/Area Number |
21910018
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Research Institution | 岡山県立西備養護学校 |
Principal Investigator |
松田 文春 岡山県立西備養護学校, 教員
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Keywords | 自閉症 / 道徳教育 / 植物栽培 |
Research Abstract |
1.研究目的 筆者はこれまで,「自閉的傾向のある生徒の心理的安定」というメインテーマのもと,他者との関わりに関する実践研究を進めてきた。本研究は,その完結を目指すものとして,他者との関わりがやがて他者の受容・他者との共生へとつながる「思いやりの心」を育むための道徳心育成のプログラムの一般化を目的とした。 2.研究方法 (1)具体的な活動について 作業学習における農耕班での活動の中から活動内容を2~3部門(たい肥の運搬,植物の栽培・管理等)に分け,自己決定方式で自分の活動したい部門を中心に活動できるようにし,必ず植物の苗の植え付けや水やり,収穫などの生育の過程に携われるように配慮する。 (2)これまでの研究成果を反映させた取り組みについて 支援は「自己決定のフローシート」に基づいてPDCAサイクルとして計画的に行う。また,生徒の言語・行動・態度・表情などの情動表出から,心的状態を的確に読み取り,支援に生かす。生徒が自分自身を評価できるように,写真・動画等を適宜指導場面に用いて取り組む。 3.研究成果 年間を通して,生徒が植物の栽培に関わってきたので,植物の成長過程を理解することができたように思われる。そのことが,「植物も生き物=命のあるもの」という認識を持つことができるようになった。特に水やりや収穫場面では,野菜を丁寧に扱い管理・収穫し,生命をいたわる姿勢が感じられたことが最大の成果である。ただ,植物を通して生命の大切さについて認識することができるようになってきたが,植物から人間への広がり(他者への思いやり)という点ではまだ十分な成果は得られておらず,今後の課題である。
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