2009 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援学校と外部専門家の連携による就労体験の省察の充実
Project/Area Number |
21910020
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Research Institution | 大分県立大分養護学校 |
Principal Investigator |
三原 彰夫 大分県立大分養護学校, 教員
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Keywords | 就労体験 / 外部専門家との連携 / 作業態度の改善 |
Research Abstract |
1.研究目的 知的障害特別支援学校における就労体験が陥りやすい問題点に、体験について適切な評価がなされず、その後の生徒の目標設定やそれに伴う支援方法の更新がないまま学習が進んでいくことがある。本研究では、就労体験終了後の「省察」段階において外部専門家の助言を仰ぎ、対象生徒の働くための知識、意欲、技能の向上に寄与するとともに、効果的な就労体験システムの在り方について明らかにすることを目的とした。 2.研究方法 対象生徒は高等部2年(男性、知的障害中程度)であった。招聘する外部専門家は2名(労働分野:障害者職業センターカウンセラー、心理学分野:大学教授)とした。対象生徒の就労体験後、体験時のビデオ映像をもとにした「省察」ミーティングを開催した(本人、外部専門家、担任、作業学習担当教員が参加)。また、並行して作業学習における作業態度の変容を記録・分析した。専門家による助言の有無と授業前に行う行動リハーサルの有無(独立変数)、作業態度に関する評価項目の達成数(従属変数、総数20)をグラフ化し、就労体験における外部専門家との「省察」の効果について考察した。 3.研究成果 専門家の助言のうち、対象生徒と教師の話し合いで作業学習における目標は作業終了時の報告行動に設定された。指導は5つの条件に分かれ、指導開始当初の助言なし条件や助言のみ条件では報告行動に変容はなかった(達成項目数:平均8)。しかし助言後、授業前の行動リハーサル導入により報告行動に改善が見られた(達成項目数:平均16.1)。これらから外部専門家との就労体験の「省察」が報告行動の改善という新たな目標設定機能を果たしたこと、また、実際の行動改善には外部専門家による目標設定のみでは不十分であり、授業前のリハーサルを通した生徒本人と教師の二者間における目標共有が必要であったことが考えられた。
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