2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21910024
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Research Institution | 鳥取県立鳥取養護学校 |
Principal Investigator |
山根 康代 鳥取県立鳥取養護学校, 教諭
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Keywords | 重症心身障害児 / ストレス / 環境 |
Research Abstract |
本研究では、重症心身障害児に対して絵本の読み聞かせを行う際のより適切な環境を知ることを目的とした。 読み聞かせに適切であろうと思われる環境(環境A;対象児と教員のみ、静穏、22℃の空調下の環境)と日ごろ対象児が学校生活を送っている環境(環境B;3名の児童と2名の教員、話し声や笑い声が聞こえる、22℃の空調下の環境)において10分程度の絵本の読み聞かせを8回実施し、読み聞かせ中の児の表情の分析と絵本の読み聞かせの前後における生理的指標の計測(唾液中のアミラーゼと心拍数及び血圧)を行った。生理的指標の変化についてはSPSSver.11.5により対応のあるt検定を行った。さらに、医師による助言を得た。 環境Aでは、読み聞かせ中の表情の変化として笑顔が2~4回表出し、視線は教員中心であった。また有意な唾液中アミラーゼの低下(前99.3±9.4,後74.9±9.7,p=0.000)と、収縮期血圧の低下(前130.7±9.0,後112.6±0.46,p=0.043)が認められた。心拍数の有意な変化はなかった。環境Bでは絵本の読み聞かせ前後の声かけにおいて笑顔が表出され、読み聞かせ中も4~7回の笑顔が見られた。視線では絵本中心になってきた。唾液中アミラーゼの有意な低下(前50.1±6.6,後34.9±2.5,p=0.011)、拡張期血圧と心拍数の有意な増加(各々、前67.6±22,後74.0±2.4,p=0.033、前98.9±3.5,後111.4±2.4,p=0.006)が認められた。生理的指標を環境AとBで比較したところ、アミラーゼの前後、心拍数、収縮期及び拡張期血圧の前でいずれも環境Aが有意に高かった。 以上より、絵本の読み聞かせはいずれの環境でも表情や生理的指標において望ましい変化を及ぼしいたが、ストレスを示すとされるアミラーゼ値からは、環境Bでの読み聞かせの方がより適切であろうと推測された。
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Research Products
(1 results)