2009 Fiscal Year Annual Research Report
近世数学史,特に関孝和の功績と西欧数学との比較研究,及び,その数学教育への活用
Project/Area Number |
21913007
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Research Institution | 聖心女子学院高等科 |
Principal Investigator |
田辺 寿美枝 聖心女子学院高等科, 教員
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Keywords | 和算 / 翦管術 / 数学史を活かした授業 |
Research Abstract |
研究目的 1.江戸時代の和算書の精読を通し,近世日本における数学の歩みを解明する. 2.原典の精読を通し得られる数学史的視点を活かした授業の実践. 研究,報告活動 原書精読と授業研究に加え,以下などの研究活動を行った. ・九州大学における日本科学史学会に参加,更に同大学桑木文庫にて資料を調査 ・日数教京都大会に続き日本数学史学会主催和算史跡研究会に参加 ・全国和算研究長崎大会にて講演,長崎の算額など資料を調査 ・RIMS研究集会「数学史の研究」にて講演 ・「数学教育の会」(学習院大学,お茶の水女子大学)にて講演 ・日本数学史学会50周年記念集会,京都大学所蔵和算書見学会,明治大学「社会に数理科学を発信する次世代型人材創発」等研究会に参加 ・清泉女子大学市民講座「和算に親しむ」を担当 研究成果 数学史の専門的な研究と高校授業研究は直接的な関連が薄いとも考えられるが,数学嫌いを生んでいる現状を鑑み,数学の本質的な意義,良さを伝えるため,数学が拠って生まれ来るその歴史を踏まえた授業研究が必要と考えている.しかし2次,3次文献を基に授業を行うことは弊害が予想され,たとえ一時代であれ先人達が築き上げた数学的な実りとそれに至る数学的営みをよく理解した上で教壇に立つことが肝要と考え,原典の解読に努める一方,歴史的視点を踏まえた授業を開講し6年,学生達から確かな反応を得ている.その教育活動における研究成果は「数学教育の会」で報告,一方,原典研究に関しては全国和算研究大会及びRIMS研究集会において報告の機会を得た.また朝倉書店『和算の事典』の執筆に続き,英文による関孝和の数論紹介が近日Springer社から刊行の予定である.和算を軸とした数学史の研究を深め,一方その理解を活かした授業実践のため研鑓を積み,歴史的視点を活かした文化としての新しい数学教育に向け一層の貢献を果たしたいと考えている.
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Research Products
(8 results)