2009 Fiscal Year Annual Research Report
共焦点レーザー走査型顕微鏡および酵母菌を使った生態親和性評価法の開発
Project/Area Number |
21915022
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松本 朋子 University of Miyazaki, 工学部・教育研究支援技術センター, 技術職員
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Keywords | 共焦点レーザー走査型顕微鏡 / 水溶性ポルフィリン / 吸光光度定量分析法 |
Research Abstract |
生体試料と薬剤との相互作用は、生体現象の解明等において重要である。生体試料の観察には共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)が従来、汎用的に使用されている。そこで、私は薬剤の生体親和性評価として、CLSMを用いる吸光光度定量分析法の開発を目的に研究を行った。 最初に、水溶性のメトキソ(アルキルオキソ)テトラフェニルポルフィリナトアンチモン臭化物錯体(1)をモデル発色団に,モデル細胞として酵母菌(Saccharomyces cerevisiae)を用いて吸着実験を行った.次に、CLSMを用いた顕微吸光光度分析によって、1の酵母菌への吸着量を測定した.菌体水溶液を試験管に採取し,1水溶液を試験管に加え,菌体のブラウン運動を止めるために寒天を加えた。調製した1(10μmol dm^<-3>)および酵母菌(1.0×10^4 cells cm^<-3>),寒天(0.4wt%)を含む水溶液を,スライドガラス上に置かれた1辺1cmの口の字型シリコーン製スペーサーに適当量を採取し,カバーガラスで覆いCLSMのステージに固定した.60倍の対物レンズで設定した直径1.42μmの測定領域を約5μmの菌体の中心線上に合わせ,1の極大波長の554nmでの吸光度および菌体粒径を測定して,Lambert-Beer則による吸光光度分析によって菌体内濃度を決定した.1は菌体外濃度10μMに対して、22.5~54.2mMの吸着濃度を示し、高い生体親和性が示された. さらに、1のジオキサンおよび水に対する溶解度C_oおよびC_wを測定し、それぞれ親油性および親水性のパラメーターとした。その結果、吸着量はC_oと良い相関を示した。このことは、1の脂溶性が高まるほど、脂溶性の酵母の細胞壁を通過しやすく、菌体内に多く吸着することを示している。これらのことからCLSMを用いる吸光光度分析は,薬剤の生体親和性評価として活用できることを確認した。
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Research Products
(3 results)