2009 Fiscal Year Annual Research Report
試料容積が大きく取れる新しい高温高圧発生装置の開発
Project/Area Number |
21919014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 弘匡 The University of Tokyo, 物性研究所, 技術専門職員
|
Keywords | 高温高圧 / 中性子 / 試料容積 |
Research Abstract |
近年、日本初の高温高圧中性子回折実験専用の実験ステーションを建設するプロジェクトが動き始め、これに対応する高圧実験技術の開発を進める事が重要になりつつある。本研究の目的は、中性子回折実験を行うために必要な試料体積(1~2mm^3以上)を確保しつつ、現在、中性子実験で広く使われている"PE(=パリ-エジンバラ)型"装置で今までに報告されている7GPa-1973Kを超える圧力領域で高温高圧実験を実行できる装置と実験技術を開発する事である。 これまでに筆者自身が開発してきたドリッカマー型対向アンビル装置のアンビル、ヒーター部周辺の形状、及び、それらの構成に改良を加える事により、安価、かつ、小型で実験が簡単に行える装置を開発した。次にこの装置を使って上記目標の達成を試みた。得られた結果は以下の通りである。 1.アンビルの直径を大きくし、かつ、円筒形ヒーターを用いることにより圧力発生効率をあまり落とすことなく試料体積を増やす事に成功した。更に、アンビル先端に適度な窪みを付けてヒーターと試料を包み込むように圧縮する事によって、極めて安定した高温高圧実験が可能になった。 2.試料体積は、加圧前で約2.96mm^3(改良前の装置の100倍以上)、15.6GPa下で約1.6mm^3以上確保できた。なお、実験後のアンビルは無傷で回収できており、更に高い圧力を発生させる事も可能と考えられる。温度は、断熱材にジルコニアを用いた場合、ヒーターに投入する電力が175Wの時に約1473K発生させる事ができた。ヒートシンクとなる熱電対を挿入せず、断熱材にMgO-CoOを使用した場合は、最高で275Wまで安定して電力を加える事ができた。この時の温度は、放射光実験の時に得られた温度と投入電力の較正曲線から計算すると約1820Kと推定される。
|
Research Products
(1 results)