2009 Fiscal Year Annual Research Report
ノン・インフォーマティブ・ビジョン環境での準拠効果と空間情報に関する基礎的検討
Project/Area Number |
21921007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 裕人 Tohoku University, 工学部・工学研究科, 技術専門職員
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Keywords | ノン・インフォーマティブ・ビジョン / 準拠手がかり |
Research Abstract |
本申請者は、視覚に障害を持つ人々の情報通信機器の入力操作環境支援を目的とし、刺激振動による入力誘導技術に関する基礎的検討を行っている。H21科研費では、入力操作のための空間定位が準拠手がかりの影響を強く受けることを明らかとした。本研究ではこれらを一歩進めて、入力環境と準拠手がかりの関係、準拠手がかりの範囲や与え方についての検討を計画した。 まず、準拠手がかりの範囲および与え方についての調査を行うため、事前にテーブルトップ空間上にマーカを8個与え、ノン・インフォーマティブ・ビジョン環境でそれらマーカを再現する実験を行った。準拠手がかりを、身体中心参照系のみの群、身体中心参照系と視覚イメージによる群に分けて実験を行ったところ、後者の群のマーカ再現精度がやや劣っていた。身体中心参照系で得られる情報は運動感覚情報に変換され、再現時に活用されると考えられる。視覚イメージは時間経過と共に表象レベルにまで減衰するため、後者の群の精度が劣っていたのはこの視覚イメージの減衰が影響したものと考えられる。続いて、派生的調査として視覚イメージの減衰に関する実験を行った。提示図形を与え、5[s]の提示時間の直後に再現(描画)する群、20[s]の干渉作業(言語および図形作業の2種類)後に再現する群に分けて実験を行った。提示直後再現の群と言語作業干渉の群では傾向が酷似していたが、図形作業干渉の群は両者よりやや過大視気味の傾向となった。提示図形と図形作業が脳の記憶領域内に混在してしまったことが原因と考えられる。前述の実験結果でも同様のことが示唆され、「8個のマーカが八角形に並んでいる」といった視覚イメージ情報(準拠手がかり)が脳の中で図形情報に置き換えられ、マーカ情報との混在から再現精度の低下につながったと考えられる。
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Research Products
(2 results)