2009 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトレットを基板とした炭酸カルシウム複合体材料の創製
Project/Area Number |
21923003
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
和田 徳雄 Tokyo Medical and Dental University, 生体材料工学研究所, 非常勤講師
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Keywords | エレクトレットによる表面電場 / 有機物添加 / カルサイトの結晶成長 |
Research Abstract |
1.カルサイトの電気的分極。 (1)カルサイト単結晶(00.1)、(10.4)、(10.0)を切り出し、これらの基板は交流インピダンス測定において高温領域(400-650℃)でイオン伝導性が示され、電気的に分極可能であることが分かった。電導率と伝導のための活性化エネルギーは概ね、1×10^<-9>~8×10^<-7>S/cm、1.0eVであった。 (2)電気的分極処理は温度400℃の炉の中で試料を白金板に挟み、外部直流電源より5kV/cmの電場を1hかけて行った。それぞれの試料は熱刺激脱分極電流測定によりエレクトレットになっていることが確認できた。 2.エレクトレットを基板としたCaCl_2-(NH_4)_2CO_3系における炭酸カルシウムの結晶成長実験。 エレクトレットとしては水酸アパタイト焼結体、ジルコニア焼結体と上記のカルサイト単結晶を用いた。分極された基板について正あるいは負に帯電した面をそれぞれP面、N面と略し、未分極な面をO面と記す。 (1)有機物(ポリアクリル酸等)の添加なしの場合:菱面体の単結晶が析出。N・P面では基板に平行に(10.4)面が配向成長。結晶密度はN>O>Pの順であった。電場は配向成長とN面での核形成を促進すること確認された。 (2)有機物(ポリアクリル酸等)の添加ありの場合:カルサイト柱状結晶による島状集合体あるいは半球状集合体が形成した。これら集合体はVolmer-Weber薄膜形成過程により薄膜へ成長した。その破断面はカルサイト柱状晶(c軸配向)による貝殻類似構造あるいは扇型構造を示した。剥離テストによりこれら集合体は強固に基板に接着し、かっ、カルサイト柱状晶はお互いに強く接着していることが分かった。電場とPAAの協調作用はカルサイトの薄膜形成を促進し、薄膜の接着強度を増加させた。膜厚はN>Pの順であった。O面では部分膜が形成した。 (3)カルサイト結晶集合体の形態・配向およびそれらによる薄膜の構造変化は分極基板による電場の大きさとその極性と有機物添加において形成する有機物-Ca^<2+>錯体の部分的な帯電分布を制御することにより起きた。 3.分極アパタイトのin vivo実験。 未分極試料が2個、分極試料が2個のみ回収できた。分析中であるが、成長速度に関してP、N、O面の違いがあった。
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Research Products
(2 results)