2009 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃波による植物細胞破壊現象のヒノキチオール抽出技術への応用
Project/Area Number |
21923006
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
嶽本 あゆみ Kumamoto University, 衝撃・極限環境研究センター, 技術補佐員
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Keywords | 水中衝撃波 |
Research Abstract |
研究目的:本研究の目的は、研究者が過去の研究で確立した、杉材からの非加熱抽出を実現した水中衝撃波負荷抽出技術をヒバオガクズに適用し、高効率で精油を得る技術の確立にある。 研究方法:植物試料に対する衝撃波負荷実験:熊本大学所有の爆発実験施設において、導爆線の電気雷管起爆ならびに高圧電流の瞬時放電により発生した衝撃波を利用した。対象とする試料は、青森県産のヒバオガクズを用意した。衝撃波負荷条件は、およそ120MPaの衝撃波圧力で、4回ならびに8回の処理を行った。衝撃波処理の後、小型水蒸気蒸留装置を用い、加熱時間を1時間として水蒸気蒸留によって精油を抽出した。また走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JCM-5700)を用いて、倍率2,000倍までを段階的に撮影し、衝撃波によって生じたスポーリング破壊や損傷の痕跡に関して、詳細な探索と撮影を行った。 研究成果:走査型電子顕微鏡観察では、衝撃波を8回処理した試料には仮導管の壁に亀裂が生じていた。一方で4回処理した試料では目立った亀裂が確認されなかった。したがってスポーリング破壊には5~8回程度の衝撃波処理が必要と考えられる。水蒸気蒸留による抽出では、8回処理は未処理試料と比べ、オガクズ試料の重量と抽出精油の重量比でおよそ1.25倍の抽出性の向上が確認された。4回処理試料では1.08倍程度であり、一応の抽出向上は確認されるものの、8回処理と比較してその効果は小さい。このことは走査型電子顕微鏡観察の結果とも一致している。一方で4回処理試料の水蒸気蒸留で得られた乳化状態のフローラルウォーターの含有濃度は、未処理試料の場合と比べて高く、数日間の静置で分離させることで更に精油が得られた。フローラルウォーターとして得られる精油成分の効率的な分離技術の確立が、今後の研究課題である。
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Research Products
(3 results)