2009 Fiscal Year Annual Research Report
食の安全と米ぬか稲作-玄米のカドミウム蓄積に着目して-
Project/Area Number |
21925026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内藤 実加 Kyoto University, 農学研究科, 技術職員
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Keywords | 環境負荷低減型稲作 / カドミウム / 食の安全 |
Research Abstract |
カドミウムは人体に有害であり,特に我が国の主食であるコメについては,カドミウム濃度を低く抑制することが強く求められている.本研究では米ぬかの水田への散布によって起こる土壌の還元化に着目して,米ぬかの投入により土壌中のカドミウムを難溶化し,イネへのカドミウム吸収を抑制できるのではないかと考え,米ぬかを利用した低カドミウム濃度米の生産技術開発に向けて取り組んだ. 米ぬか散布量が異なる試験区(無処理区,米ぬか2回散布区,米ぬか3回散布区)を設け,各区の栽培期間中の水田土壌の酸化還元電位の推移,イネ品種ヒノヒカリの玄米中のカドミウム濃度を調査した.また,別の圃場において水田および畑条件で栽培されたイネ品種ササニシキの玄米中のカドミウム濃度も調査した. 予想した結果とは異なり,酸化還元電位およびヒノヒカリの玄米中のカドミウム濃度はいずれも処理の違いによる有意な差は認められなかった.この原因として,米ぬか投入による土壌の還元化が対照区と比較して促進されなかったことが考えられる.一方で,水田および畑条件で栽培したササニシキの玄米中のカドミウム濃度は水田条件と比較して畑条件では有意に高い値を示した. 以上により,米ぬかを利用した低カドミウム濃度米生産技術の確立に向けて,今後,(1)米ぬか投入の効果が発揮される環境条件の解明,(2)イネのカドミウム吸収に及ぼす水管理条件×米ぬか投入の相互作用の解明,が必要であることを示すことができた.
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Research Products
(1 results)