2009 Fiscal Year Annual Research Report
核酸トランスポーターSLC29A1の発現解析によるリバビリンの副作用発症予測
Project/Area Number |
21927006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 嘉治 University of Tsukuba, 附属病院・薬剤部, 薬剤師
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Keywords | リバビリン / 核酸トランスポーター / 貧血 |
Research Abstract |
慢性C型肝炎の薬物療法において、リバビリン(RBV)はインターフェロンと併用で用いられる薬物である。RBVの副作用として溶血性貧血が多発するため、投与量の減量もしくは投与が中止される症例が少なくない。この様な症例では、RBVの効果が十分でなく、疾患の再燃が問題となっている。貧血の発症機序として、RBVの赤血球内への過剰な蓄積が指摘されている。すなわち、ヌクレオシドトランスポーター(SLC29A1)を介して赤血球内に取り込まれたRBVが1000μM以上の濃度に蓄積すると、ヘモグロビン(Hb)値の低下が顕著になり、貧血が発症することが報告されている。赤血球中RBV濃度には個人差があり、Hb低下と関連することも確認されている。 申請者は、この個人差の一因として、RBVの輸送に関わるSLC29A1の発現量の個人差を考えている。SLC29A1をコードするSLC29A1遺伝子には、いくつかの一塩基多型(SNP)が報告されているが、これらのSNPとSLC29A1の機能への関与は未だ明らかにされていない。したがって、SNPの解析とmRNAの発現量を把握することで、SLC29A1の活性を評価でき、RBVの副作用発症を予測できると考えられる。 SLC29A1 mRNAには5種類のtranscript variantが存在することが報告されている。申請者は5種類全てのvariantを検出するプライマーを開発して、リアルタイムPCR法でSLC29A1 mRNAの発現量を測定した。その結果、多型の1つである-706G>Cに注目したところ、-706G/CはG/Gに比べて末梢血リンパ球上のSLC29A1 mRNA発現が有意に低いことを明らかにした。 今後は、-706G>Cの多型がSLC29A1タンパクの発現や赤血球内RBV濃度に及ぼす影響を調べ、RBV誘導性貧血への寄与率を検証する必要があると考える。
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Research Products
(1 results)