2009 Fiscal Year Annual Research Report
外来化学療法におけるグムシタビン投与量の個人差に影響を与える要因の解析
Project/Area Number |
21928015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田上 裕美 Kyoto University, 医学部附属病院・薬斉部, 薬剤師
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Keywords | 塩酸ゲムシタビン / 個別化療法 / 膵癌 |
Research Abstract |
【研究目的】 塩酸ゲムシタビン(GEM)は膵癌などの治療に幅広く使用されている代謝拮抗剤である。標準量は1g/m^2を3週連続投与後、1週休薬となっているが、実臨床では骨髄抑制等の副作用により減量を余儀なくされる場合が多く、投与量は50mg/m^2/回~1g/m^2/回と非常に個人差が大きい。本研究では当院外来化学療法部においてGEMによる治療を受けた膵癌患者を対象にして、GEM投与量に影響を及ぼしうる背景因子について統計解析を行い、個別化治療に活かすことを目的とする。 【研究方法】 対象は2007年1月1日から2009年12月31日にGEM含有レジメンで半年以上化学療法を受けた再発・進行膵癌患者45名とし、従属変数をΔDI=GEM初回投与量-半年後のGEM投与量、独立変数を性別、年齢、病期、performance status、骨髄・腎・肝機能検査値、併用抗がん剤、化学療法歴の有無、手術歴の有無とし、統計ソフトDrSPSSIIを用いて単変量・多変量解析を行った。なお各変数は電子カルテよりレトロスペクティブに調査・抽出した。 【研究成果】 GEM初回投与量はほとんどの症例で600~750mg/m^2/weekであったが、半年後も同程度の投与量を維持できたのはそのうち31.6%で、残りの68.4%では減少していた。ΔDIと個々の独立変数との関連性を単回帰分析により解析した結果、年齢、好中球数のそれぞれに有意な相関が認められた。またステップワイズ法による重回帰分析を行った結果、得られた重回帰式は以下の式となった[ΔDI=807-7.71×年齢-8.48E-04×血小板数+2.02×ALT調整済R^2=0.272]。以上の結果より、骨髄機能や肝機能に異常がある患者には、GEM標準投与量での治療の継続が困難である可能性が高いため、予め減量するなどの対策が適宜必要であることが示唆された。
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