2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における下肢関節可動域と静止立位重心動揺の関係
Project/Area Number |
21931001
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Research Institution | 国際医療福祉専門学校七尾校 |
Principal Investigator |
武村 啓住 国際医療福祉専門学校七尾校, 教員
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Keywords | 高齢者 / 下肢関節可動域 / 静止立位重心動揺 |
Research Abstract |
研究目的:加齢に伴い直立能力が低下することはよく知られている。高齢社会を迎え、この直立能力の低下は転倒を引き起こし、QOL(生活の質)を大幅に低下させる。転倒の主な原因には、環境要因、筋力低下、痴呆などがあるが、一般に多様かつ複合的であり、未だ原因究明のために十分な研究はなされていない。中でも下肢関節可動域との関連を調査した研究は少ない。下肢関節可動域がバランス能力に影響を及ぼすことが明らかになれば、転倒予防のために下肢関節の可動域を確保することの重要性が示唆され、リハビリテーションを行う上で関節可動域運動をしっかり行うことでバランス能力が維持され、転倒を予防する一助となる。そこで、今回下肢関節可動域が静止立位重心動揺に及ぼす影響について検討した。 研究方法:若年群として平均年齢24.3歳の健常成人22名、高齢群として平均年齢82.2歳の健常高齢者11名を対象に、下肢関節可動域と静止立位重心動揺検査を実施した。下肢関節可動域は、股関節屈曲・伸展・外転・内転、膝関節屈曲・伸展、足関節屈曲・伸展を計測し、重心動揺検査は開眼・閉眼で総軌跡長、左右軌跡長、前後軌跡長、矩形面積、外周面積、実効値、左右実効値、前後実効値、左右最大振幅、前後最大振幅、左右方向動揺中心偏位、前後方向動揺中心偏位の12項目をデータ処理した。 研究成果:関節可動域は股関節内転以外は、若年群より高齢者群の方が有意に狭かった。開眼では股関節外転・内転、閉眼では股関節外転・内転、膝関節伸展、ロンベルグ率では膝関節伸展の可動域が重心動揺検査項目の3項目以上で相関関係が認められた。可動域と重心動揺の関係は概ね負の相関が認められたが、股関節内転では正の相関が見られた。今回の研究結果から、高齢者では下肢関節可動域特に股関節外転と膝関節伸展の可動域を改善するような運動を推奨すべきであることが示唆された。
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