2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳脊髄液中リポタンパクとβ-アミロイドの相互作用におけるアポJの存在意義の解明II
Project/Area Number |
21931010
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川崎 健治 Shinshu University, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Keywords | アポE及びアポJ含有リポ蛋白 / β-アミロイド / 相互作用解析 |
Research Abstract |
昨年度の奨励研究では、アポE及びアポJ含有リポ蛋白中のシアル酸量が、中枢神経組織の脂質代謝と密接に関わりながら、老人斑の形成にも関与していることが示唆された。今年度は、アポE及びアポJ含有リポ蛋白と老人斑の主成分であるβ-アミロイドの相互作用を表面プラズモン相互作用解析装置(Biacore3000)で解析した。健常者19人の同意を得て採血し、アポEフェノタイプをSDS-PAGE及び抗アポEによるウエスタンブロットで調べた。超遠心法でアポE及びアポJ含有リポ蛋白を得て、Biacore3000でセンサーチップ上のβ-アミロイドとの相互作用を調べた。リポ蛋白中の総コレステロール濃度、トリグリセライド濃度、リン脂質濃度、アポ蛋白濃度を測定した。 結果 1.アポE及びアポJ含有HDLとβ-アミロイドの相互作用は濃度依存性が認められ、アポE濃度が高いと結合親和性も高くなった。 2.E4/E4のフェノタイプをもつアポE及びアポJ含有HDL中は、他のフェノタイプのHDLに比べてアポE濃度が低かった。 3.β-アミロイドとの相互作用の親和性の強さは、E4/E4>E4/E3>E3/E3=E4/E2=E3/E2のフェノタイプをもつアポE及びアポJ含有HDLの順であった。 β-アミロイドとの相互作用で観察されたアポE濃度依存性やアポEフェノタイプとの関係性は、以前に報告されているリコンビナントアポEとβ-アミロイドの相互作用や免疫組織的観察と矛盾しない結果であった。アポEフェノタイプの違いとシアル酸量は関係性が認められないことから、アポE及びアポJ含有HDL中のシアル酸の量的評価だけではなく結合している糖鎖全体の量的・質的解析が必要であると考えられた。現在、アポE及びアポJがもつ糖鎖構造をピリジルアミノ化で標識しHPLCで解析する方法を構築し、これらのリポ蛋白上に存在する糖鎖構造の影響を解析している。
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