2009 Fiscal Year Annual Research Report
シアル化・非シアル化アポEがβアミロイドの細胞内取り込みに及ぼす影響について
Project/Area Number |
21931018
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
菅野 光俊 Shinshu University, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Keywords | シアル化・非シアル化アポE / βアミロイド |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)にみられる老人斑には、βアミロイド(Aβ)と共にapoEが沈着している。加えてapoE4はその発症の危険因子と言われているが、発症のメカニズムは明らかではない。apoEの194番目のThr(スレオニン)残基にシアル酸が結合し、シアル酸が結合していないもの、1つ、2つ、3つ結合しているものさまざまであり、しかも血清中よりも髄液中で顕著であることを見出した。このシアル酸の数はapoEの発現から細胞外分泌の過程で変化することが知られており、その解析は意義深い。アイソフォーム(E4,E3,E2)について、194番目のThrをAlaに変異させたものを分子生物学的手法で作成し、シアル化・非シアル化apoEとβアミロイドとの結合性についてアイソフォーム別に検討を行い、以下の結果を得た。 Aβ_<1-42>に対する結合活性:解離定数KD(mean±SD, nM) シアル化apoE3:1.49±0.63、非シアル化apoE3:3.90±2.14 シアル化apoE2:0.40±0.27、非シアル化apoE2:0.76±0.56 シアル化apoE4:0.09±0.04、非シアル化apoE4:0.12±0.03であった。 これから、apoEの194番目のThr残基のシアル酸または糖差部分はAβ_<1-42>との結合に促進的に作用すると示唆された。また、Aβ_<1-42>との結合性はアイソフォーム別では、apoE4,E2,E3の順に強かった。 以上の結果より、ADの発症には、apoEの遺伝的性質とともに、apoE分子の翻訳後糖鎖修飾、特に脳神経系由来のapoEがシアル酸付加を受け易いという性質が、ADの主病変である、老人斑形成に密接に関係していると考えられた。
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