2009 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞における転写因子異常が化学療法の治療効果に及ぼす影響
Project/Area Number |
21931029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
南木 融 University of Tsukuba, 附属病院・検査部, 臨床検査技師
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Keywords | 白血病 / ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC) / サイクロスポリン |
Research Abstract |
[目的] ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、核内蛋白質であるヒストン中のアセチル化したリシン側鎖を加水分解する酵素でありヒストンのアセチル化は遺伝子発現活性化に、脱アセチル化は遺伝子発現抑制に関連している。また、HDACの阻害剤は、腫瘍細胞のアポトーシスや分化を誘導し、抗腫瘍効果を発揮することが報告されている。そこで、免疫抑制薬として用いられているサイクロスポリンが血液細胞株のHDAC遺伝子発現に及ぼす影響について検討を行った。 [対象] K562(慢性骨髄性白血病)、RAJI(バーキットリンパ腫)、SKM-1(骨髄異形成症候群)、THP-1(急性単球性白血病)細胞株を用いて実験を行った。 [方法] 細胞培養は、RPMI 1640培地+10% FBSに、サイクロスポリン加えて37℃ 5%CO_2下で行い、以下の操作を行った。 1.RNA抽出:ISOGEN(ニッポンジーン)を用いて行った。 2.cDNAの合成:Reverse Transcriptase XL(AMV)(TaKaRa)を用いて行った。 3.HDAC遺伝子発現:real time PCR法(ABI7900)を用いて行った。 4.細胞増殖の測定:Cell Ploliferation kit(MTT)(Roche)を用いて行った。 5.HDAC活性(核抽出物): 核抽出:Nuclear Extraction Kit I(EpiQuik)を用いて行った。 HDAC活性:HDAC Activity/inhibition Assey kit(EpiQuik)を用いて行った。 6.細胞生存率:TRYPAN BlUEを用いて行った。 [結果・考察] 各血液細胞株にサイクロスポリンを投与すると、HDAC遺伝子発現は誘導されるが、HDAC酵素活性は減少を示した。またサイクロスポリン投与により細胞増殖が抑制され、生細胞数が減少したことより、サイクロスポリンが白血病細胞に対する抗腫瘍効果を持つことが示唆された。これらの事よりサイクロスポリンは、白血病治療薬としてのHDAC阻害剤候補の1つになりうる可能性が考えられた。
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