2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト造血幹細胞由来樹状細胞による造血制御に関する研究
Project/Area Number |
21931037
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山下 順助 Akita University, 大学院・医学系研究科, 技術専門員
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Keywords | CpG-ODN / ヒトパルボウイルスB19 / 赤芽球系の選択的抑制 |
Research Abstract |
【目的と背景】 ウイルスや細菌のDNAはToll-like receptor(TLR)を介して種々の生体反応を宿主に惹起する。我々はTLRを介する造血制御機構の存在を推定し、TLR9の代表的リガンドであるCpG-oligodeoxynucleotide(ODN)2006が造血に及ぼす影響を検討した。 【方法】 純化ヒトCD34^+細胞をエリスロポエチン(EPO)などの各種造血因子存在下で各血球系列に分化増殖誘導する過程でCpG-ODN 2006の影響を検討した。 【結果】 CpG-ODN 2006は赤芽球系の増殖のみを選択的に抑制し、顆粒球系や巨核球系は抑制しなかった。抑制はCpG-モチーフに関連なくODN配列特異的で、backboneに化学的修飾のないphosphodiester(PO)を有するODN(2006-PO)のみに認めた。2006-POの細胞内取り込みを30分以内に認めたがTLR9に非依存性であった。2006-POはBFU-Eを抑制し、S,G2/M停止、細胞の巨大化およびアポトーシスを誘導した。ヒトparvovirus B19(B19)感染による赤芽球癆の病態に類似することからB19-DNAと2006-POの共通配列を検索し、P6プロモーター領域に共通配列5'-GTTTTGT-3'を認めた。GTTTTGTを含む合成B19-DNAは配列特異的にBFU-Eを抑制した。2006-POはEPO受容体(R)mRNA、EPOR、EKLF蛋白の発現を抑制し、2006-PO処理細胞は^<125>I-EPO結合能が低下していた。B19感染患者のB19 genomeは2006-POと同じくBFU-Eの増殖とEPOR発現を抑制した。 【考察】 本研究から、赤芽球系の選択的抑制におけるB19-DNAの関与、および、ヒトの造血における微生物由来の配列特異的DNAの関与が示唆された。
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Research Products
(2 results)