2009 Fiscal Year Annual Research Report
グルタメートは歯髄神経終末の神経伝達物質であるか?
Project/Area Number |
21932009
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
星野 正明 Niigata University, 歯学部, 技術職員
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Keywords | グルタメート / グルタメートトランスポーター / 歯髄 |
Research Abstract |
グルタメートは痛みの代表的な伝達物質であるが,神経終末における含有量が少ないこと,分子量が小さいことから免疫組織学的な観察や形態学的な直接的同定が困難である.しかし,放出されたグルタメートを回収する因子であるグルタメートトランスポーター(GLT-1, GLAST, EAAC1)の発現を指標として間接的にグルタメートの存在を検索することが可能となってきた.豊富な知覚神経支配を受ける歯髄では,すべての刺激を痛みとして三叉神経節に伝達する.本研究では,成獣ラット臼歯および三叉神経節を用いて,歯髄知覚神経終末内に存在する明調な小型小胞の内容物がグルタメートである可能性を,トランスポーターの存否を指標にして免疫組織学的に検証した. 歯髄に分布する神経線維においては,GLT-1がシュワン鞘に発現していたがGLASTは神経線維や神経終末での発現は認められなかった.三叉神経節においては,GLT-1が一部の小型の神経細胞の細胞質に強く発現した.一部の少数の中型の神経細胞の細胞質に弱陽性反応が,さらに神経節内を走行する神経線維のシュワン鞘でも発現が観察された.GLASTは,すべての大きさの神経細胞体周囲に存在する衛星細胞の細胞質に強い発現が認められたが,神経線維や神経細胞体は陰性であり,GLT-1とGLASTの局在は明らかに異なっていた.EAAC1は,小型と一部の中型の神経細胞体に陽性反応を認めたが,衛星細胞は陰性であった. 三叉神経節において痛みの受容に関与する小型の神経細胞体にGLT-1とEAAC1が,持続する疼痛に関与するとされる衛星細胞にGLASTが発現することと,歯髄神経でGLT-1が存在することから,歯髄神経終末にはグルタメートを含む小胞が存在し,痛み刺激の伝達に重要な役割を持つ事が示唆きれた.
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