2022 Fiscal Year Annual Research Report
Positioning of Early Modern Vietnamese Documents in the East Asian Document World
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21H00577
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
八尾 隆生 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (50212270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 智勝 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (10300972)
蓮田 隆志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (20512247)
岡田 雅志 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (30638656)
桃木 至朗 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい教授 (40182183)
山崎 岳 奈良大学, 文学部, 教授 (60378883)
吉川 和希 関西大学, 文学部, 准教授 (60881464)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 黎朝 / 阮朝 / 公文書 / ハノイ / ハイフォン / ナムディン省 / 漢喃研究院 / 西北地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の八尾は黎朝時代の法令集の復刻作業を継続し、その作業に付随した論考を公開した。 研究分担者の桃木はナムディン省旧百穀社などで1990年代以来展開された日越合同調査での収集資料の見直しに着手し、地簿・家譜などの整理・分析を進めた。山崎は『岩波講座世界歴史』において、14~15世紀のアジア海域史の共時的変動の中に、陳朝の滅亡から黎朝の成立に至るベトナムを位置づけ、世界史的構造変化の一環としてとらえ直すことを試みた。井上は阮朝初期の神勅の文面の把握を中心に調査を進めた。漢喃研究院にて嘉隆年間の神勅を含む文献を調査したほか、Hai Phong市において嗣徳年間の早い時期に創祀あるいは王朝の顕彰を受けたものの非業の死を遂げた人を祭った祠廟の現地調査を行った。蓮田は人事関連勅式文書の分析を引き続き進めたほか、昨年度に刊行した訳書『世界史のなかの東南アジア』(共訳、名古屋大学出版会)が第39回大平正芳記念賞特別賞を受賞した。吉川は18~19世紀のベトナム北部山地に関する行政文書の分析を通して、ベトナム王朝(黎朝・阮朝)の地方支配の変遷や現地住民の動向を解明し、論文3本を発表した。また、北部ベトナムの平野部についても、18世紀末~19世紀初頭中央政府や地方官と村落とのあいだでやり取りされた行政文書を考察し、公的負担の減免を官に働きかける村落の動きを解明して口頭発表をおこなった。岡田は西北地方に関する地方誌・博物誌(医薬書を含む)を分析し、同時代の中国・日本との比較から、中越境界地域の民族動態が民族集団や物産の記述フォーマットに与えた影響について考察を進めた。 主要な研究協力者である多賀はベトナムで収集した阮朝公文書およびフランスで収集した領事報告を整理し、その成果を国際学会における2本の英語発表として公開した。また18世紀末~19世紀前半のベトナムに関する概説を分担執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍にあって、現地やフランスでの調査・史料収集が必須である本科研事業は当然そうした活動に制限を受けている。また共同研究である以上、各自の研究状況を相互に披露せねばならないにも拘わらず、オンラインによるそれには限界があり、研究費活用の遅れも生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者である八尾が2023年度末をもって定年退職の予定であり、23年度には研究の遅れを取り戻すべく、分担者、協力者には積極的に現地調査を促す一方、成果中間報告の場としてのオンライン会合を増やす予定である。
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Research Products
(21 results)