2022 Fiscal Year Annual Research Report
Broad interactions between the Japanese archipelago and its surrounding East Asian regions from the first to third centuries, A.D. at different social levels: Approach from seals, glasses, and iron
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21H00600
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石川 日出志 明治大学, 文学部, 専任教授 (40159702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 浩二 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10322108)
田村 朋美 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (10570129)
石黒 ひさ子 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (30445861)
中村 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (40403480)
山本 孝文 日本大学, 文理学部, 教授 (40508735)
谷澤 亜里 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (50749471)
橋本 裕行 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 特別研究員 (80270776)
豊島 直博 奈良大学, 文学部, 教授 (90304287)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 璽印 / ガラス / 鉄器 / 西暦1~3世紀 / 日本列島 / 東アジア / 広域交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,(1)璽印をめぐるアジアの中心と周縁,(2)ガラス製品のアジア広域流通網の復元、(3)鉄製武器・利器とその副葬習俗の広域展開の3つのテーマともとに,西暦1~3世紀の日本列島と東アジアの広域交流の重層性を読み解くものである。 2022年度は,(1)については中国墓葬出土印情報の収集、および漢魏晋代の駝鈕印の画像収集と検討を行い,型式分類とその相関関係の把握に努めた。駝鈕の型式学的検討は,本研究の発端となった「漢委奴國王」金印が後漢前期に駝鈕として製作されたものが直ちに蛇鈕に改変されたその経緯や関連を読み解くために必須の作業である。ただし,本研究申請時に計画した中国における墓葬出土印の実地資料調査はコロナ禍のために果たせなかった。(2)に関してはモンゴルなど北方草原地帯の資料の蛍光X線分析を実施し,従来不分明であった草原地帯から日本列島へのガラス製品の流入の糸口を見出すことができた。またベトナムでの分析データを検討して,日本列島製品と共通するのは中国南部までであり,近年注目されているベトナム地域からの流入は難しいと判断した。その成果は年度末に論文「アジアにおける漢代併行期のガラス流通」にまとめた。(3)については北部九州から北陸までの弥生時代後期の墓地に鉄製武器類の副葬情報の収集を行うとともに,本研究の発端の一つである長野県木島平村根塚遺跡出土鉄剣および同時出土遺物の検討を行った。同県上田市上田原遺跡出土鉄矛の再調査も行い,根塚銅剣とともに朝鮮半島製品と判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のために,文献情報の収集と日本国内の資料調査はどうにか実施できたものの,(1)璽印研究に関して当初計画した中国・韓国での資料調査を実施することができなかった。そのため,璽印の鈕形に関する詳細な観察は,国内所蔵機関の所蔵資料に限られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021・2022年度はコロナ禍による資料調査の制約が厳しかったが,2023年度は最終年度に当たっており,これまでの研究成果を総合する作業を進める。特に(1)璽印研究では,これまで進めてきた亀鈕・蛇鈕の型式学と,2022~2023年に進める駝鈕の検討成果を合わせ考えることにより,前漢後期から後漢前期にかけて進んだ印鈕型式の再編過程を統一的に把握することに重点を置く。
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