2021 Fiscal Year Annual Research Report
超ワイドギャップAlN系半導体を用いたパワートランジスタの開発
Project/Area Number |
21H01389
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
三好 実人 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30635199)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ワイドバンドギャップ / AlN / ヘテロ接合FET |
Outline of Annual Research Achievements |
窒化アルミニウム(AlN)は、GaNの3.4eV、SiCの3.2eVを大きく上回る6.2eVという極めて大きなバンドギャップエネルギーを持つ究極的なパワーデバイス用半導体材料である。AlNの絶縁破壊電界は非常に高く、パワーデバイスとして利用した場合のOFF耐圧はGaNやSiCの約10倍にもなると予想されている。一方、AlNは、化学的安定性が高く機械的強度・硬度に優れることも大きな特徴となっているが、これらの諸物性は機能デバイスへの応用を考えた際の技術的困難さも生じさせている。本研究では、将来社会の省エネ化ニーズに応えるアイテムとして、GaN, SiC以上の超ワイドバンドギャップ半導体である窒化アルミニウム(AlN)系ヘテロ構造をベースとしたパワートランジスタを着想、その実現に向けた課題と方策を以下のように設定し、研究計画を策定した。 (1) AlN系ヘテロ構造のエピタキシャル成長技術確立: 目標のトランジスタ構造を実現するために表面平坦で且つ所望の電気特性を示すAlN系ヘテロ構造のエピタキシャル成長技術を確立する。 (2) AlN系トランジスタのデバイス化技術構築: デバイス化にあたってのキーとなるオーミック電極形成、およびノーマリOFF動作のための精密微細加工に係るプロセス技術を構築する。 (3) AlN系トランジスタの試作と到達性能の確認: 上記2項目に対応したうえでデバイス試作と評価を進め、理想デバイスの設計と到達性能の理論推定を行う。以上のような学理的なアプローチを以て、AlN系トランジスタが既存品を超えて真に将来有望なデバイスとなり得るかを検証する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で取り組むような極端にAlN含有比が高い窒化物材料では、結晶が3次元的・粒子的に形成され易い。実際、当研究室が直近で行ったトライアル的な成長実験においても、多数のクレータが表面に形成されることを観測している。このような現象は、成長途上で結晶内部に蓄積された格子歪・応力が開放される過程で生じるものと推察される。 本年度は、成長用下地基板として格子歪の異なるAlNテンプレート(エピタキシャルAlN膜付き単結晶基板)を準備し、その上のAlGaNエピ成長において「組成傾斜のかけ方(膜厚に対する組成勾配)」や「原料供給法(投入ガス比・成長速度・ステップ制御など)」を検討、これらの最適化によって成長途中での格子歪生成をコントロールする事を試みた。結果として、AlNモル分率36%までのAlGaN混晶膜において電子濃度1.5e+13/cm2となる2DEG生成を確認、さらに再成長コンタクト層を備えるAlGaInN/AlGaNヘテロ構造トランジスタを試作し、動作確認に至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、さらに高耐圧を目指すための、よりAlNモル分率の高いAlGaNチャネル層形成に向けてエピタキシャル成長技術の改良研究を継続すると共に、デバイス作製に必須となる要素技術、具体的には低抵抗オーミックコンタクト層を形成するためのイオン注入や再成長層の形成条件最適化、ノーマリオフのためのゲート電極構造とその最適化プロセスの検討、といった技術確立に注力する。これらの要素技術を構築する事で、2023年度の理想デバイス構造に向けた基盤技術獲得を図る。
|
Research Products
(7 results)